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ユア・ブラッド・マイン―鬼と煉獄のカタストロフ―
episode17『来年の事を言えば鬼が笑う』
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けれど、いつまでも怯えていることはできない。

 ヒナミに背を押されて、罪と向き合うと決めた。逃げないのだと、そう決めた。これは、その第一歩だ。

「――わかった。私も、一緒に行くよ」

「……ありがとう、ヒナミ」








 入院患者用病室棟、個室フロアの最奥。
 智代はシンから事情を聞くと、すぐにあちら側の保護者、関係者へとコンタクトを取ってくれた。あちらからも許可を貰って、智代が二人へと伝えたのがその病室。D?309号室――表には、『宮古芳華(みやこよしか)様』という看板が出されている。

 間違いない、シンの話していた魔女の少女が入院しているという病室は、ここだ。

「……」

「――シン、いい?」

「……うん、お願い」

 車椅子に座って戸を開けられないシンに代わって、その重厚な戸をノックする。その音に続いて意を決したように、シンが少し大きめの声で呼びかけた。

「有馬智代から連絡させて頂きました、逢魔です。入っても、大丈夫ですか?」

『どうぞ』

 内側から扉越しに届いた許可の声を受けて、思い切って戸を開く。どうにもかなり広い個室のようで、声の主は部屋の最奥に設置された大型のベッドに眠っているらしい。設置されたカーテンで姿は見えないが、奥にあるらしい窓から差し込む日光でシルエットだけがカーテンに映っていた。

 シンの座る車椅子をカラカラと押して、部屋の中へと進んでいく。僅かな廊下を抜けてベッドの置かれた大部屋に辿り着いたところで、シャッと、カーテンが勢いよく向こう側から開かれた。

 かつてヴィジョンで見た少女と、今、再び対面する。

 記憶通りの、赤みがかった黒髪の少女だ。瞳の色は薄暗い紅色をしていて、病衣の下に覗く肌はそこかしこに傷跡が刻まれている。シンとそっくりの、そしてヒナミにも浅くはあるが一度は刻まれたそれは、シンの世界に触れた証。

 少々痩せ気味のその女の子は、ぱちくりと、二人の姿を見つめていた。

 ……?

 ヒナミは当然、面識はない。だがどこか不思議にも、見覚えがあるような、そんな気が――。

「シン、くん?」

「うん――久しぶり、ヨシカ」

 呆然とシンの名を呼んだ彼女は、ゆっくりとシンの顔を、そしてヒナミの顔を見比べる。暫く混乱した様に目を見開いて、しかしやがて――

「……ぁ、あ」

 その目の端に、涙を滲ませた。

 シンが苦し気に目を伏せて、唇を噛む。仕方のない事だ、彼の世界のせいで、彼女はその身に凄惨な傷を負ってしまった。それが彼の意図した事で無かったにしろ、彼女にとってその傷の原因は紛れもなく逢魔シンだ。

 恐怖、恨み、怒り、どれを抱かれていても、不思議な事ではない。むしろ、そちら
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