エピローグ
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大晦日の日。
ハルトは、見滝原駅のホームにいた。
「リゼちゃあああああああああああああん!」
ココアの泣き声が、他のホームまでにも響きそうで心配になる。
目の前で、ココアがリゼに抱き着いている。
「おい、止せココア。また春休みには帰ってくるから」
頭を揺らされながら、リゼは訴えた。だが、ココアはリゼの手を握りながら、うるうるとした瞳でリゼを見つめていた。
「本当に? 私のこと、忘れたりしない?」
「わ、忘れるわけないだろ! その……私だって、友達なんだし」
「本当!? ありがとう! シャロちゃんもきっとすぐに来るよ! きっと今の聞いたら喜ぶよ!」
「シャロも千夜も今日はバイトだって忘れてるだろ! 昨日のうちにあいさつは済ませてあるから、お前は気にするな!」
「でも……やっぱりリゼちゃん行っちゃいやあああああああああ!」
ココアの顔がぱあっと晴れたと思いきや、またしても泣き崩れた。
ココアちゃんの顔を見ていると飽きないなあ、とハルトが考えていると、今度はリゼはチノと何やら会話をしている。ココアとは違い、チノとはスムーズに会話が運ばれていく。やがて話し終えたのか、今度はハルトの隣の可奈美とあいさつを交わす。
そして、リゼは最後にハルトと向き直った。
「……何があったのかは、聞かない」
リゼは、しっかりとハルトの目を見ていた。
「あのクリスマスの日、お前が私の前で見せたアレが何なのか。お前が……あの大陸とか、気になることは山ほどあるけど、私は聞かないし、忘れてほしいなら私は忘れる」
「それは助かる」
ハルトはそうとしか言えなかった。
可奈美も、顔は平静を装っているが、「何で知られてるの」と肘で突いた。
リゼは続ける。
「ただ、お前がこの町を守るために戦っているのも、一度だけとはいえ見たつもりだ。だから、私から言えることはただ一つ!」
スイッチの入ったリゼが、ハルトの胸を拳で叩いた。
「自らの信じた道を進め!」
「……サー、イエッサー」
ハルトはくすりとほほ笑みながら答えた。
電車の発射音が鳴る。
「……留学、頑張ってね」
「ああ。ありがとう。ココアとチノ、皆のこともよろしく頼む」
次回予告
「お姉ちゃんに任せなさい!」
「貴女がいるから! 貴女さえいなければ!」
「憎い! 憎い! 憎い! 私よりも人気でキラキラのてめえが憎い!」
「私のこと、嫌いなの……?」
「もっと私を愉しませてほしいなあ……君と、君の大切な仲間たちの物語で」
「人の心を弄ぶお前を、俺は絶対に許さない!」
「絆……〇〇〇〇!」
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