◆外伝・五◆ 〜白馬将軍の決意〜
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誰かがしゃしゃり出てきた。
確か、劉jの軍師だったか。
「控えなさい。今は、袁術と話をしているの」
「まあまあ、そう仰らずに」
「下郎! 控えろと言っている!」
お、曹操の気迫に怯えてら。
「そ、曹操殿。少し落ち着かれては」
「然様。そのようにいきり立たずとも宜しいではありませんか」
「そ、そうじゃ。そのような事、妾が指示するまでもない事じゃろう?」
劉ヨウと劉璋の取りなしに、袁術が開き直ったようだ。
「ま、いいわ。でもこれからどうするのか、さっさと決めて欲しいわね」
そう言い捨てて、曹操は天幕を出て行った。
全く、私も溜息をつきたい気分だ。
「何だそりゃ? 酷いもんだな」
「ええ、総大将がその有様ですか」
陣に戻り、あらましを菫と紅葉に話した。
「菫。曹操が何を聞きたかったか、わかるだろ?」
「あーっ、白蓮さんまであたしを馬鹿にしてるな?」
私と紅葉、互いを見て苦笑い。
「では菫、馬鹿にされない為にも正解を言ってみて下さい」
「紅葉まで酷いぜ、そりゃ。瓦礫の山、あれがある限りあたしら進めないって事だろ?」
「はは、流石だな菫。これで、お前は袁術や張勳よりも聡いって訳だ」
「……なんか、全然褒められた気がしない」
「しかし白蓮様。これでは戦いになりませんね」
うわ、紅葉の奴さらっと流したよ。
菫がいじけている……。
「あ、ああ。それに、歳三の本命は此所じゃない」
「でしょうね。虎牢関は、ただでさえ難攻不落ですから」
「その上、こっちは結束もなし。おまけに総大将は極めつけの阿呆じゃな……」
自然に、私らの声は低くなる。
いくら自陣とは言え、こんな会話を余人に聞かれでもしたら大変だからな。
「菫」
「……あんだよ」
すっかりふて腐れている菫。
「私は暫し、病にかかる事にする」
「……は?」
「だから、当面の間、兵の指揮はお前が執ってくれ」
「ま、待ってくれよ白蓮さん。それなら紅葉の方が適任だろ?」
「いや、紅葉には別の任務がある。いいな?」
「……お任せを」
紅葉は察してくれたようだ。
「面会は断ってくれ、相手が誰であろうともだ」
「そ、そりゃ白蓮さんがそうしろって言うなら従うまでだけどさ」
「ああ、頼むぞ二人とも」
「御意」
「わかったよ」
さて、せいぜい具合の悪いフリでもさせて貰うとするか。
そして。
瓦礫の撤去に諸侯が手こずる中、紅葉は作業場所をこまめに変えていく。
数日後、その姿が不意に消えたけど、それを気づかせる事もなかったようだ。
「あれが、虎牢関か。すげぇな」
「ああ。……攻める側にならなくて、本当に良かったな」
夜陰に紛れて兵を走らせ、見事に私達は脱走に成功。
虎牢関は、もう目の前だ。
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