第二章
[8]前話
「アルバートって名前をつけてるんだ」
「そうなの」
ファーレンがステーキを食べつつ応えた。
「その子は」
「ああ、ふらってうちに来てな」
「それで私に懐いて」
アーサーの妻のエリザベスが言ってきた、長い金髪で緑の目である、はっきりとした顔立ちでスタイルがいい。
「いつもついて回ってきていたの」
「きていた?」
「急に来なくなって」
エリザベスはファーレンに話した。
「それでどうしたのかしらって思っていたら」
「夫婦でドライブに出てな」
またアーサーが言ってきた。
「近所の茂みで見掛けて車を停めて」
「私が車の窓からアルバート!?って呼んだら来たの」
「それからまたうちに来る様になったんだ」
「二年位来なくなっていたけれど」
それがというのだ。
「来てくれて」
「その時からまたなんだ」
「こうして一緒にいる様になったんだ」
「いつもね」
「不思議なものだな」
ワンはここまで聞いて言った。
「急に来なくなってまた来て」
「そうね、またいつも一緒にいる様になったって」
「不思議だな」
「二年の間何をしていたのかしら」
「それはわからないけれどな」
アーサーはワンの夫婦にサラダを食べつつ応えた。
「けれどアルバートはまたな」
「私達が農作業をしてると来る様になって」
「こうして日中はいつも一緒にいるんだ」
「ご飯も一緒よ。じゃあアルバート今からご飯を出すわね」
「ヒヒン」
アルバートはエリザベスの言葉に嬉しそうに鳴いて応えた、そして出されたご飯を嬉しそうに食べた。
その彼を見ながらワンは妻と話した。
「鹿は可愛い生きものだな」
「そうね」
妻は夫のその言葉に笑顔で応えた。
「見ていると」
「そして一緒にいるとな」
「驚かされたりもするけれど」
「俺みたいにな」
道にいた子鹿のことを思い出しながら妻に応えた。
「そうしたこともあるけれどな」
「けれどね」
「ああ、野生の中にいても人懐っこくて」
「何処か愛嬌のあるな」
「可愛い生きものね」
「だから森の管理人としてな」
ワンはさらに言った。
「これからも鹿が森にいられる様にな」
「頑張っていくのね」
「そうするな」
アルバートを見てこれまで見てきた鹿達を思いだしながら妻に約束した、そうしてアーサーの夫婦とアルバートについて話していった、その話は彼そして鹿の魅力がさらにわかる実に楽しいものだった。
鹿との絆 完
2021・6・17
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