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魔術QBしろう☆マギカ〜異界の極東でなんでさを叫んだつるぎ〜
第1話 約束は果たすとしよう
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な技術。それを用い、インキュベーターの属する星の者たちは宇宙のエネルギー危機を救おうとした。
しかし、そこで問題が生じる。それは、開発した彼ら自身に感情というものがなかったためだ。そのため、彼らはこの地球の人類に注目した。その中でも、特にエネルギー収集に効率がいいとされたのは、第二次性徴期の少女たちだ。
インキュベーターは、彼女たちの願いを叶えるという奇跡と引き換えに、彼女たちを“魔法少女”と呼ばれる存在へと変える契約を交わす。魔法少女となった彼女たちはその魂を“ソウルジェム”と呼ばれる宝石へと変えられ、そこに詰まった希望をエネルギー源に魔法という力を行使する。そして、ソウルジェムは魔法を使う毎に、あるいは魔法少女たちが負の感情をため込む程に黒く濁っていく。その濁りが限界に達した時、ソウルジェムの希望は絶望へと変わり、ソウルジェム自体も“グリーフシード”と呼ばれる呪いの塊と化す。グリーフシードとなった魂は人間としての記憶も感情もなくし、“魔女”と呼ばれる怪物へと変貌してしまう。それこそが魔法少女の行きつく先であり、そこへ導くのがインキュベーターの役目。
願いを叶えるという甘言を用いて年端もいかない少女たちを誘惑し、宇宙を延命させるためのエネルギー資源として利用する命ある機械。個体ごとに意思を持つのではなく、全体で1つの意識を共有して行動する生体端末。それがインキュベーターだ。
「えげつないな」
宇宙という大いなる存在を、そのスケールから見れば
塵
(
ちり
)
にも等しい犠牲で延命させる。それは1を捨て9を救ってきたエミヤの人生に似ているかもしれない。しかし、今のエミヤは、それにはっきりと嫌悪感を抱いていた。
そのことに気が付き、思わず笑いがこぼれる。これも、あの聖杯戦争で答を得た影響だろうか。
「しかし、魔法少女か」
何やら、異常に不吉に感じるフレーズだ。生前に何かあった様な気がするが、恐らく気にしない方がいいことだろう。「あはー」という独特な笑い声の幻聴がするが、即刻忘れるべきに違いない。とりあえず、誰かにその名の役目を押し付ける存在にろくな者はいないということの様だ。
不意に、背後に気配を感じる。
「急に
精神共有
(
リンク
)
が途切れたけど、一体どうしたんだい?」
今の自分の声と、全く同質の声が聞こえた。振り向けば、先程窓に映した自分と寸分違わない姿の生物がそこにいる。
「インキュベーターか」
「? 君もそうだろう」
首を傾げながら聞き返されるが、その声にはまるで感情というものが感じられなかった。それでいて、確かに疑問に思っているだろうことはわかる。ここまで感情を伴わずに思考できる存在を前に、エミヤは妙な感心を抱いた。
「ああ、なるほど」
益体のないことを考えていると、何やら目の前の相手は勝手に
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