"Vitalization"
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ォギアを介して歌となり、集まっている。
「この命の旋律が、響き合うこの歌声が……ッ!」
全ての機構を解放し、拳に仕込まれたギアが回転する。
破片と光が、美しい虹を描く。
歌がそれぞれの足音を、永久に近いほどに響かせていく中で、響は叫んだ。
「これが七十億の……絶唱だあああああああああ!」
そのまま、未来は自らの体の落下を感じた。
響が、ムー大陸のコアへ拳を叩きつけている最中、未来は静かに目を閉じる。
そして。
ムー大陸のコアは貫かれ、爆発。
さらに、その爆発はムー大陸を隅々まで破壊し、やがて。
超古代の大陸の姿は、爆炎の中に潰えた。
「響ッ!」
その声に、響は意識を再覚醒させた。
消滅したムー大陸。夕焼けにそまった冬空に、未来がこちらへ手を伸ばしていた。
「未来……その体……」
未来が何かを強く訴えているが、響にはその言葉は届かなかった。
すでに蜃気楼のように薄れかかっている未来の体。それは、バングレイによって記憶の再現として呼び出された未来の消滅を意味していた。
「響、しっかりして!」
そんな状態にも関わらず、未来は響の肩を捕まえた。肩をがっちりとホールドする彼女の手つきが、半分になっている。
「このままじゃ、響助からないよ!」
「そんなの……未来だって……未来だって、同じだよ!」
響は未来の手首を掴み返した。
「折角……折角会えたのに……私、未来に言いたいこと、謝りたいこと沢山……ッ!」
だが、響は口を噤んだ。
響の口を人差し指で閉ざした未来は、ほほ笑んだまま言った。
「私はもう、響に沢山助けてもらった。これまで、本当にたくさん。だから、次に響が掴む腕は、もう私じゃないんだよ」
「いや……いや……」
だが、未来は止まらない。
「響のこと、ずっと見守ってるから。いつまでもずっと。響が……私の大好きなお日様が、人と人を繋ぐのを、ずっと。だから」
どんどん未来の姿が薄れていく。彼女の肌より、夕焼け色の方が濃くなっていく。
「だから……最後は……笑ってほしいな。響」
「未来ッ……未来ッ……!」
響は未来の肩に顔を埋めた。数回の嗚咽を繰り返し、未来の顔も見れないほどに視界がぼやけていく。
「未来ッ……こう? これでいい?」
自分がどんな顔を見せているのか、響には分からない。目を細くしすぎて、未来の顔も見えない。
ただ。未来の声だけは、聞こえてきた。
「ありがとう……響……私の、大好きな___
下からの風に、思わず響は顔を上げる。
紫の人型粒子は、落ちていく響を見下ろしながら、どんどん離れていく。
霧散していくその姿に、響は
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