"Vitalization"
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たち、一人一人だよ! 皆が、この世界を救うんだッ!」
「だから、皆!」
「お願い、聞かせて! 私はすぐそばにいるから! 溢れたままの感情を隠さないで!」
「それぞれが惹かれ合う音色に、理由なんていらない!」
響は腕をぎゅっと握った。
「だから、この歌は、私の歌じゃない! 皆の……皆で紡ぐ唱だよ!」
そして。
歌えない響の代わりにと、人々は祈った。
そしてそれは。
「皆で紡ぎ合うこれこそが、絶唱だああああああああ!」
ムー大陸の上で、歌となる。
___Balwisyall nescell gungnir tron___
響が動かしているのは口だけ。その詠唱を、未来はただ見守っていた。
世界中の人々が、響の声となる。
それは、彼女のガングニールを呼び起こし、その体を包み込む。
黄色をメインにした、響のシンフォギア。見ているだけで、未来の心が安らぐ。
さらに、人々の祈りは続く。
ムー大陸に流れてくる祈りの光は、とどまるところを知らない。響のシンフォギアの光は黄から白へと変わっていく。
すでに体も限界を超えているのに、負担のなくエクスドライブの再起動。純白のボディとなった響は、静かに未来へ振り替える。
「未来。行こう」
「……」
未来が、大好きな人の笑顔。未来がその手を握り返すのに、時間はかからなかった。
「行くよ。未来」
「うん」
未来が響の手を握ると同時に、響は未来を抱き寄せる。左手に抱えられた未来は、響が右手を突き上げるのを間近で見上げていた。
響の腕が、どんどん変形していく。シンフォギアという装備が織り成す機構は、やがて響の腕を巨大なドリルにして見せた。
「未来。私と、未来とで」
「うん」
未来は、響の腕をぎゅっと握った。響は強く頷き、祭壇からジャンプ。
「最速で、最短で、真っ直ぐに! 一直線にッ!」
ドリルが唸り声を上げながら、ムー大陸の祭壇より掘り進んでいく。それは、やがてムーの中心まで突き抜け、未来の前に、ムー大陸の核部分が現れる。
「あれが……ムー大陸のコア……ッ!」
それは、巨大な赤い球体だった。ムー大陸の動力炉に浮かぶ太陽のようなそれは、ブラジラによる影響か、幾度も発光を繰り返し、まさに暴走しているようだった。
「あれを壊せば、全てが終わる!」
響のドリルが、また変形音を奏でる。ドリルという、人が進む手段としての役割を終えたガングニールは、巨大な拳となり、腕の動きと呼応して固める。
「この世界は、壊れない! 絶対にッ!」
その時、響の拳に、歌が流れてくる。
世界中の人々の祈りが、響のシンフ
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