第六百十七話 地獄の甘さその十
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「それで」
「お客様がいいならです」
「構わないですね」
「はい、お客様あってですから」
文化祭の店でも店員は店員だった、そのうえでの返事だった。
「リクエストがあって可能なら」
「応えてくれますか」
「それがお店ですから」
「それでは」
「はい、ただ」
それでもとも言うのだった。
「本当にです」
「バランスはですね」
「かなりです」
「悪いですね」
「落ちませんか」
アイスがというのだ。
「零れたりして」
「いえ、そこはです」
「大丈夫ですか」
「ですからお願いします」
「そこまで言われるなら」
店員もだった、気合を入れて。
十二段作った、それをセーラに差し出した。
「どうぞ」
「有り難うございます」
セーラは三人分の勘定を払った、そうして食べるが。
バランスよくしかも迅速にだった。
一段一段上品に食べあっという間にだった。
「ご馳走様」
「もうですか」
「美味しかったです」
バランスを崩さずしかもあっという間に食べたので驚く店員に笑顔で答えた。
「満足しました」
「バランス崩さないで」
店員はその驚いた顔で言った。
「しかも」
「それにですか」
「速かったですね」
「アイスは好きでして」
それでという返事だった。
「ですから」
「食べるのも速いですか」
「ついつい」
「そうですか」
「速く食べようと思えば」
それならというのだ。
「私はです」
「速いんですか」
「はい」
そうだと答えた。
「左様です」
「それでも速いですね、あと」
「あと、といいますと」
「やっぱり甘さは」
「連合の甘さですね」
「あの甘さじゃないですね」
「あれはマウリアの甘さなので。ただ」
セーラはこうも言った。
「アイスは甘さだけではないですね」
「甘さの強弱じゃない、ですね」
「そうですね」
「そうですね」
店員も頷いた。
「そのことは」
「はい、ですから」
「マウリアのもの程甘くなくても」
「味全体で言えば」
それならというのだ。
「やはり連合の方が上です」
「それは」
店員も言われて頷いた。
「確かにでそうですね」
「連合のアイスの方が上ですね」
「はい」
まさにというのだ。
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