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幻の旋律
最終話 さよならをメロディーに乗せて
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「深谷先生、まだ席に戻らないのか・・・・」」
教頭が嘆いていた。
「先生の席は朝から空いたままです!職員達も誰一人、この会場内で先生を見ていないそうです・・
ところで教頭先生、深谷先生のクラス立派でしたね・・」
「ああ、あの崩壊したクラスが蘇ったな・・これからというときに彼は退職するな。この事実を知らない生徒達は明日の終業式で一体どうなってしまうのか・・・・」
「明日就業式まですね深谷先生が出勤するのは・・」
平本先生が言った。
「そうだな・・この学校も寂しくなるなハハハハ」
「ところで深谷先生どこに行ったんだよ・・・・・
閉会まで戻らないつもりか・・」

「兄貴!学校行事だろ!どこにいるんだよ・・」
木村警部は、会場を歩き回り捜索した。

やがて、総合司会者である幸代は閉会の挨拶を始めた。
「ええ、これで全日程が終了致しました・・
実は・・最後に、本日、新人のピアニストをゲストとしてお迎えしております!」

「は?閉会だろ!何言ってるんだよ!ピアニストだと・・・」
会場は、騒ぎ始めた・・
「はい、静かにしてください・・・それでは、彼のプロヒュールを紹介します。」
幸代は元気よく話始めた。

「えー・・長い間、数学の研究をしていた彼は、夏の終わりに、楽譜に現れる周期性に興味を持ち、音楽理論を探究しました。やがて鍵盤に向かい、自分らしい独特な旋律を身につけ・・今日のこの日を迎えたのです。」

「何だと、夏から始めてまだ半年だろ?そんな奴が、このステージで弾くのか・・そんな、度胸のある奴がいるのか!」

「素人であるはずの彼は、音楽家である私にこう言いました・・
美しいメロデーだからこそ、そこには周期性が存在する・・
美しい音の配列は偶然でない、そこには、数学が存在する・・
旋律は、歌うように強弱が大切なのは当然ではあるが、決して自己満足であってはならない、それでは聴き手には伝わらない・・
聴き手と共有するには・・
時間との共有をすることだ・・・
何故ならば、人々は皆時間を共有してるからだ・・
数学と同様、音楽もイメージこそが大事である・・」

木村警部は、はっとした・・
「俺ら凡人にそんなこと言ったって理解出来る訳ないだろ・・
いや、待てよ・・数学だと・・一体、幕の後ろにいる人物とは・・・・・まさか!」

ここはステージ中央である。幕が閉じているためそこは暗闇だ。
賢治は幕の向こうでの観客の騒ぎに我にかえり、目を開けた・・・
彼はこの一年を振り返っていたのだった。

「俺の人生はまさしく激動だったぜ・・
これは俺の生まれ持った「宿命」によるものだ・・
俺は、この「宿命」に逆らうためにも、過去の暗闇を消さねばならない・・
だから、お前らを殺さねばならない・・
まあ
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