第七話 真夜中の悲愴
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めにあなたの副担任をしてると思っているの・・・・」
日がたつにつれて、幸代は嫌だちを感じて行った。
その日、待鳥は、飲み会の後、夜遅く職員室に忘れ物を取りに来た。
「え!・・深谷先生・・お疲れ様です・・」
「おおお疲れ、」
「深谷先生・・・あの・・いや、何も・・」
「ハハハ、どうしたのかな・・」
「いや、先生、こんな夜遅くに何をやっていたのですか・・最近変ですよ・・」
彼女は、賢治の本音を聞きたかったのである・・
「変?何言っている・・・俺はいつも変だぜ・・」
賢治は、ありったけの作り笑いをした。
「いい加減にしてよ!いつも、いつもそうやって、自分の気持ちをごまかして・・・私は、一体何のための副担任なのよ!私はあなたにとってHRの道具なの!愚痴でもいいから言ってみなさいよ!」
幸代は今のクラスの入学時から誰よりも近くで彼を支えてきたつもりだったのであった。
「うるせえよ・・一人にしてくれ・・」
賢治は黙ってうつむいていた。
「そうやって一人で、格好つけてなさい!」
待鳥は声を震わせながら言った。そして、逃げるようにその場を去った。
賢治は、机にもたれかけ、ため息をついていた・・
帰りの車で幸代は考えていた。
「あの人、私の気持ちなんか何も分かっていない・・もう嫌い・・」
「でも、すごく寂しそうだった・・弱り果てた彼に、私言いすぎたわ・・」
慌てて車を引き返した。
待鳥は、学校到着したが職員室は電気がついていなかった。
「あら、深谷先生がいない!帰ったのか・・遅かったわ・・・」
残念そうに車に乗り込もうと扉を開けた。
「なんて綺麗な満月なの・・・」
その時だった。何かメロデーが聞こえる。
「んんん・・ピアノ・・」
耳を澄ました。
「月光第1楽章・・」
「なんと美しい・・何処から・・こんな真夜中に一体、誰が・・・まさか、体育館・・」
電気の着いていない体育館に恐る恐る近寄った。そして、扉をあけると・・・
「ええ!嘘でしょ!」
窓からの入る月明かりに照らされて、賢治はステージ中央で優雅に弾いていた・・実に幻想的な光景だった。
「この人、ピアノ弾けるの・・弾けるどころの次元ではない・・何なの、この表現力は・・・・」
メロデーは幸代を包んだ。彼女は、うっとりして、たたずんだ。
やがて、演奏終了した。
賢治は、俯いたまましばらく鍵盤を見ていた。そして、しばらくして、次の曲が始まった。
「次は、何なの、早く聴かせてよ・・・楽しみだわ・・」
幸代の心は躍っていた。
そして、賢治は目を閉じたまま、ゆっくりと演奏が始まった。
「何だかとても美しい曲ね・・遠い昔に聞いたことがあるような・・凄く癒されるは・・」
最高に心地よくほほ笑んだ。
「でも、何だか、とても悲しい曲
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