第三話 十三階段
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をキングの隣に置き、言った。
「チェック・メイト・・・・」
「おおおお!ありえない!」
周囲から大歓声が上がった。
「この兄ちゃん天才だぜ!ハハハハハ」
「約束だ、この女をもらう・・・」
「・・・・」
佐々木は黙ってうなずいた。
「美香・・行くぞ・・」
賢治は、美香の手を取った。
「おい・・お前の名前は・・」
「そんなのどうでもいいだろ・・」
「それより、なあ・・佐々木・・何で十三、なんだろうか・・」
賢治は不思議そうな表情で言った。
「何が言いたい・・」
「お前・・十三階段にでも縁があるのか・・
もしくは、十字架でも背負ってるのか・・」
「・・・・・・」
佐々木はその言葉に敏感に反応していた。
「すまない・・何だか、訳の分からない事を言ってしまったな・・
自分でも何を言ってるのか分からない・・
どうか、気分を害さないでおくれ・・」
賢治はそう言い残し、二人は出口へと向かって歩いた。それを大勢の客は見ているだけだった。
「あいつは一体、何を言いたかったのか・・
まあ負けたが、この勝負、痺れたぜ・・・・」
佐々木はその言葉を聞き考え込んでいた。過去でも振り返っていたのか。
「俺はこの男と初対面なのか・・
いや、分からない・・・
でもこの男、かなり危険な香りがするぜ・・・」
滝沢は離れて行く賢治を観察していた。
二人は階段を上がって行った。
「賢治・・私の為に、なんでこんな危険な事を・・」
「ああ・・俺達は運命共同体だからな・・
まだ葉山商事の赤字の埋め合わせが終わってないだろ?ハハハハ」
「そうね・・・
十三階段か・・・
でも、あの言葉、どういう意味なの・・
あなたも佐々木との関係があるの・・」
このチェス試合は、噂となり、やがて闇の世界で語り継がれた。すなわち伝説となったのだ。また、佐々木と滝沢は、賢治を幹部に持つ金竜組に対し警戒をしていた。
第七工事現場、作業着の賢治は、今日も現場監督をしていた。
崖から海を眺めていると、不思議な感覚に捕われた。
「俺はなぜ、ここにいる・・
ここは一体、何処なんだ・・
誰がこの第七工事現場に導いたのか・・」
愛しい風に当たりながら螺旋状に過去へ落ちていく感覚を覚えた。
トラックの音がする・・・
作業には無関係な数十台のトラックが工事現場沿いの泥道を通過している。
賢治は何気なく近くの作業員に聞いた。
「おい・・あのトラックは何だ?本社の作業トラックなのか・・」
やがて、そのトラックの列は、中島崖で方向を変え、中島川沿の上流へと登って行った。
「いいえ・・これは、ある業者の運搬車らしいですよ・・」
「なんで、我々の作業に無関係なトラックが我が領地を通過するのか・・」
「何でし
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