命は重い
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第三者side
「バーン様、ずいぶんと楽しんでいらっしゃいますね」
コロッケを片手に今にも崩れ去りそうな建物を見ながら、観光のように歩いている赤髪の少年に、オレンジ髪の少年が話しかける。
「楽しいに決まってんだろ?あの方に文句言われずに遊べるんだからよ!!」
「それもそうですね」
緑髪のポニーテールの少女もクスッと笑いながら答える。オレンジ髪の少年も同様で、小さく笑っていた。
「この国が盛んな時に来たかったなぁ」
「例の荒れ事ですか?」
「人間たちにも血気盛んな者が多いんですね」
そんなことを言いながら廃墟と化している建物が並ぶ地を見回っている三人。しかし、突然赤髪の少年が何かに気付き、その場に立ち止まった。
「どうしました?バーン様」
彼に合わせて二人も足を止める。バーンは少年の声が聞こえていないのか、明後日の方向を向くとニヤリと笑う。
「こりゃあずいぶんと楽しませてもらえそうだな」
「「??」」
何が彼をここまで嬉しそうにさせているのかわからず二人は顔を見合わせる。少年はそんな二人を気にすることなく、ゆっくりと視線の先へと歩き始めた。
「バーン様!?」
「どちらに行かれるんですか!?」
慌てて彼の後に付いていく二人。バーンは彼らに視線を向ける。
「面白そうな奴らがいるみたいだからな。死なない程度に遊んでやるか」
その言葉を聞いて彼の狙いがわかった二人は笑みを浮かべた後、小さくうなずく。
「命は重たいからね」
そんな意味深な言葉を呟くと、彼らはゆっくりと目的地へと歩を進めた。
シリルside
「え・・・それって・・・」
「どういうこと?」
訳がわからずにいる俺たち。そんな中、住民の皆さんもやはり意味がわかっていないようで、説明をしようにもできない。
「それが我々にもわからないんです」
「これだけ暑いのに農作物には影響もない上に家畜が死んでしまうことない」
「生活に困窮してはいますが、生きていくことは十分にできるんです」
普通なら食料不足に悩まされてしまうところなのだが、それが今のところ起きていない。住むところだけはどうしようもなくなりかろうじて雨水を凌げるこの家に全員で過ごしているとのことだが、それでもやはり異常だ。
「詳しく調べてみる必要がありそうだな」
明らかにおかしい今回の現象を受けて、真っ先に立ち上がるエルザさん。それはいいんだけど・・・
「調べるってどうやって?」
「誰かに聞いて回るわけにも行きませんし・・・」
気候のことなんて誰かに聞いて何かを掴めるわけはないだろうし・・・と思っていたけど、エルザさんは小さく首を振った。
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