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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第二章 〜罪と罰〜
その五
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夫ですよ。それに関しては上手く処理しましたから」

 女好きもいいところだろう。しかも優秀な頭脳を持つ分、さらに性質(タチ)が悪い。

「……休みだからといってはめを外し過ぎないように。少なくとも犯罪行為はするな。特に緑葉!」

 思っていた以上に侮れない男、緑葉樹。命も惜しまぬ節操の無さはもはや賞賛に値する……かもしれない。

「よし、本日は解散だ。日直、号令」

 起立、礼、の号令の後、教室を出て行く撫子。ほぼ同時に開放された生徒達が家路に付き始める。

「楓、帰ろうぜ」

「え……あ、は、はいっ」

「今日は何か買ってく物あるのか? 付き合うぞ」

 いえ、今日は特に、と言いかけた時だった。

「きゃあっ」

 稟に合わせようとして慌てたのか、カバンを持って駆け寄ろうとした楓の足が大きくもつれ、稟を巻き込みながら床に倒れ込んだ。

「痛てて……楓、大丈夫か?」

「は、はい」

 一緒に倒れ込んだせいで至近距離に楓の顔があった。楓も気づいているのか、顔が紅潮している。

(こんなに近くに、稟くんが……)

 そんな思考が楓の頭をよぎる。と、稟が身を起こそうとしている。早くどかなければ。

「あ……」

 しかし、そんな考えとはうらはらに、楓の体は動かなかった。稟が不思議そうに楓を見ている。

(稟くんのこの唇に、シアちゃんが……)

 私も、とそう思った時、楓の体は勝手に動いていた。

「ん……」

「!!」

 楓の唇が稟のそれに重なっていた。柔らかな感触に稟の思考が完全に停止した。数秒後、楓の唇がゆっくりと離れた。その顔は夢でも見ているかのような甘い表情を浮かべている。そのまま楓は稟の顔を見つめ続ける。

「……かえ……で……?」

「あ……」

 稟の声に自分が何をしたのか気づいたようだ。赤かった顔がさらに赤くなり、小さな声を漏らす。

「あ、あの……私……その……」

「……」

「ご、ごめんなさいっ!!」

 謝罪の後、楓は脱兎のごとく教室を飛び出していった。後には、唖然としたクラスメイト達が残されていた。 
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