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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第84話:徐々に壊れていく
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思わぬところで響が登場した事に、颯人とウェル博士が思わず狼狽える。その隙にソーサラーの攻撃が颯人を捉え、大きく吹き飛ばし壁に叩き付けられた。
「が、はっ!?」
「消えろぉぉぉっ!!」
颯人が壁に叩き付けられると同時にウェル博士がノイズを召喚。半狂乱で召喚されたノイズは、颯人と響にそれぞれ向かって行く。
「や、べ……逃げろ2人ともッ!」
「あ――――!?」
「未来は下がってて!」
響が荷物を投げ捨て、ノイズへと向かって行く。
颯人は自分に迫ってきていたノイズをソードガンで切り払いながら、戦おうとしている響を引き留めようと声を上げた。
「駄目だ、響ちゃんッ!?」
颯人が響に戦うなと伝えるが、伝わる事は無く彼女はその口から唄を紡ぐ。
「Balwisyall nescell gungnir tron――ッ!!」
響はその口から聖詠を紡ぐが、ノイズが彼女に接触するほうが早い。
それを見てか、響はとんでもない行動に出た。なんと唄い終える前にノイズを殴ったのだ。
あまりにも無謀な行為。いや、無謀どころではない。ノイズに生身で触れるという事は、自殺も同然の行動である。
だが事態はさらに彼らの理解の範疇を超えた方向へと動いていく。
響の体は炭化する事なく、ノイズの体を受け止めたのだ。
「なぁっ!?」
「ッ!?」
「人の身で……ノイズに触れた――!?」
本来ならあり得ない事。昔颯人がノイズの攻撃を受けて無事だったのは、彼の中の魔法使いとしての才能が彼を救ったから。
だがそんな偶然は早々起こる事ではない。
一体何故響は無事なのか、その答えはその直後に明らかとなった。
ノイズを殴った体勢のまま、響はシンフォギアを纏ったのである。
「おぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
そのまま拳を押し込み、ノイズを消し飛ばす響。
彼女の姿に、颯人は事態が思っていたよりも不味い方向に動いている事を察した。
――ここまで進んじまったのかッ!――
ノイズを消し飛ばし、それでも尚余った威力は衝撃となって周囲に広がる。
その衝撃に負けず佇む響は、拳を握り締めて叫んだ。
「この拳も、命も――――シンフォギアだ!!」
己の身に起こっている異常に気付かず、戦う意思を見せる響。
その彼女の姿に、颯人は新たな指輪を取り出した。
「出し惜しみしてる場合じゃなさそうだな……」
新たに颯人が取り出した指輪。それは青い宝石に角のある仮面のような装飾が施された、彼が愛用する指輪と似通った形をした物であった。
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