第二百七話 冬の進軍その三
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「戦場で刃は交えても」
「それでもですね」
「出来るだけ傷付けない」
「その力を丸々手にする」
「それを目指しますね」
「ああ、騎士団の騎士達もな」
その彼等もというのだ。
「そうするな」
「わかりました」
「ではその様に進めていきましょう」
「我々も」
「軍が戦で傷付くのは仕方ないさ」
出来るだけ無傷で手に入れたくもというのだ、久志もこのことはわかっている。
「けれど民や畑や街は違うな」
「工場も港も」
「全てそうですね」
「そちらも出来るだけ傷付けない」
「それが大事ですね」
「民は敵じゃないんだ」
そうだというのだ。
「むしろな」
「その支持を得るものですね」
「帝国の民となるので」
「そうあるべきですね」
「民や産業がなくて国なんてな」
それこそという言葉だった。
「成り立たないだろ」
「はい、その通りです」
「まさにその通りです」
「若し民がいないならです」
「国なぞありません」
「産業もないと」
「そのどちらもないと」
将軍達も久志に口々に答えた。
「まことにそうですね」
「だからですね」
「騎士団との戦においても」
「民は手を出さない」
「そして畑や街にも」
「一切ですね」
「そうしていくな、じゃあ準備が全て整えば」
その時にというのだ。
「いいな」
「わかりました」
「その時は陛下もですね」
「出陣されますね」
「そうするな」
こう言ってだった。
久志は騎士団との戦の用意を進めさせた、そうしてそのうえで彼は政務も執っていった。そうしてだった。
十二月の中頃、その時にだった。
「戦の用意が整いました」
「何時でも進軍出来ます」
「物資も集めています」
「後は陛下のお言葉だけです」
「よし、宣戦布告だ」
久志は大臣そして将軍達に述べた。
「騎士団、そしてな」
「騎士団と同盟を結んでいる王国と連合王国にもですね」
「三国に宣戦を布告ですね」
「左様ですね」
「ああ、宣戦を布告してな」
そうしてというのだ。
「まずは騎士団を攻めるぞ」
「わかりました」
「では今よりです」
「騎士団領に攻め入りましょう」
「そうしような」
こう言ってだった。
久志は宣戦を布告するとすぐにチロルに移動の術で飛んだ、そして野営地に着くとそこに集まっている将帥達に話した。
「今からだ」
「はい、進軍ですね」
「ミュンヘン、ニュルンベルグに」
「そうしていきますね」
「ああ、そしてな」
そのうえでというのだ。
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