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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第二章 〜罪と罰〜
その四
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「確か規定では……」

「はい、部員数が五人以上でなければ部としては認められません。彼女は奨学生で、とても頑張っているので生徒会としてもどうにかしてさしあげたいのですが……」

「奨学生なんですか」

 毎年神界・魔界から五名ずつしか選ばれないという奨学生制度がバーベナ学園にはある。その枠に入っているということは彼女がそれだけ優秀だということだ。奨学生へは部活への入部が強く勧められる。放送部に在籍しているのもそのあたりが理由なのだろう。ちなみにデイジーは寮住まいだ。

「シアに少し話してみましょうか」

「いいのですか?」

「成績に関してはシアの周りには優秀な人がいるので」

 なんなら自分がシアの勉強を見るのもいい。シアの苦手とする英語・歴史は柳哉の得意分野だ。

「それに……」

「?」

「彼女はどこか人付き合いが下手そうなので」

 それは瑠璃も薄々感じていた事だ。思わず笑いが漏れる。

「何か?」

「いえ、見かけによらず、お人好しな方だと思いまして。土見さんの幼馴染だというのが少し分かります」

「褒め言葉、と受け取っておきます」

 ひとしきり話した後、二人は各自の教室に戻った。


          *     *     *     *     *     *


(彼が……)

 教室に戻る道すがら、瑠璃は先程まで話していた下級生の事を考えていた。“あの”土見稟と芙蓉楓の幼馴染。それだけではない。神王ユーストマからも気に掛けておくようにとの通達があった。どういうことなのだろうか。土見稟だけならばまだ分かる。何せ王女リシアンサスの婚約者候補だ。しかし、いくら神族と人族のハーフとはいえあくまでも彼は一般人なのだ。本当によく分からない。

(一体どういうことなのでしょうか……いや)

 軽く頭を振り、考えを追い出す。考えることは大事だが考え過ぎるとかえって良くない。

(今は私の成すべきことを成しましょう)

 それに、彼は害になるような存在ではない。これはただの勘だが、彼の立ち位置はむしろ自分のそれに近いように思える。ならばそこまで心配することは無いだろう。

「瑠璃ちゃん? どちらへ行かれますの?」

「え?」

 親友であるカレハの声に振り向く。どうやら教室を通り過ぎてしまっていたようだ。苦笑しつつ、

「ちょっと考え事をしていまして」

「そうだったんですか。てっきりいつもの……」

「カ、カレハちゃん!」

 慌てて教室に入る瑠璃だった。


          *     *     *     *     *     *


 一方。
 柳哉も教室に戻りながら考えを巡らせていた。もっと
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