第四百六十四話 キールでの邂逅その三
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「かなり大変だぞ」
「その大変なのが面白いっすよ」
「そっくりの者は多いが流石にこの性格は多くいたら困るぞ」
「緋沙子さんはそう思うっすか」
「かなりな」
実際にというのだ。
「私は勘弁して欲しい」
「何かそっくりさんとそうした人が多過ぎて」
シルヴィア=レンハートの言葉だ。
「注意しないと混乱するわね」
「そうよね」
沙織もそれはと頷いた。
「ここまで色々世界が一緒だと」
「どうしてもね」
「そうなってくるわ」
「本当にね」
「うちの会長さんのそっくりさんも芳佳ちゃんが出てまた増えたし」
「私も含めてね」
「そうそう、あんたもよ」
沙織はそのシルヴィアにも顔を向けた。
「会長さんそっくりよ」
「自覚しているわ」
「私のそっくりさんも多いけれどね」
「沙織もそうね」
「もう自分でも誰が誰だか」
それこそというのだ。
「わからなくなってきたわ」
「はい、私もです」
鳴海クルミも言ってきた。
「自分でもです」
「わからないですよね」
「沙織さんとはそっくりですね」
「霞ちゃんもだし」
「他にもです」
「そうした人がね」
「何人もおられるので」
その自分によく似た者がだ。
「まことに」
「ダクネスさんもね」
「左様ですね」
「もう誰が誰か」
「私が誰かさえも」
それすらもというのだ。
「わからなくなってきています」
「聞いているこっちもだ」
ゲルトルートはどうかという顔で述べた。
「わからなくなってきた」
「そうなりますよね」
「うむ、頭が混乱してきた」
「大丈夫だよ、慣れるよ」
常盤がそのゲルトルートに笑って話した。
「そのことも」
「そうですか」
「うん、一緒にいたら」
それでというのだ。
「自然とね」
「わかってきますか」
「誰が誰かね」
「そうですか」
「確かに今の沙織ちゃん達みたいにわからなくなる時もあるけれど」
例えそれが自分自身のことでもだ。
「それでもだよ」
「慣れて、ですか」
「わかってくるよ」
「だからですか」
「特にね」
これといってというのだ。
「気にすることはないよ」
「常盤さんがそう言われるなら」
ゲルトルートも頷いてから述べた。
「私もそうします」
「そうしてくれたら俺も嬉しいよ」
「それでは」
「また凄い戦力が加わったな」
リーベルトは鋭い声で言った。
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