神との対峙
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諦めたような目をするな!」
そして。
彼はきっと気付いていまい。自らの右手にある令呪が、輝きを放ちだしていることに。
「生きるのを、諦めるな!」
彼が……ビーストがそれを知っているはずがない。偶然とはいえ、その言葉を聞けたことで、響の心が少し安らいだ。
そして、令呪の一画が消える。それは、彼の命令となったのだった。
ラ・ムーの剣が、響の体を穿つ。イグナイトにより強化された肉体とはいえ、その一撃は響を変身解除させるほどに重く、またその意識も朦朧とさせた。
そのまま、二度目の死の足音が聞こえてきた時。響は、その足音を消す唱を唄った。
『Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl』
「何だ?」
突如流れてきた歌声に、ウィザードは顔を上げた。
ラ・ムーの圧倒的な力に、ウィザードもリゲルも地に伏せていた。だが、その歌声が持つ暖かさに、思わず痛みを忘れた。
「耳障りな……何が聞こえている?」
一方、ラ・ムーの頭上のブラジラも唱の事態に動揺を隠せない。周囲を警戒し、発生源を探る。
「どこから聞こえてくる……この不快な……唱……歌だと……?」
「歌ッ……!?」
その言葉に、ウィザードはリゲルを見やる。
すでに分析を終えたのか、リゲルはゴーグルを収納し、ほほ笑みながら頷いた。
そして。
『Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl』
歌が終わる。
ムーの神殿に沈黙が流れる。
ラ・ムーの鼓動音さえもうるさい今。祭壇の外から、眩い光が漏れだした。
ウィザードは、目を覆う。その光に、何も見えなかった。
ただ、ブラジラの声が聞こえてきた。
「まだ戦えるのか? 何を支えに立ち上がる? 何を握って力と変えている? ……お前が纏っているものは何だ? 心は確かに折り砕いたはずだ! なのに、何を纏っているッ!? それはこの星が作ったものか? お前が纏うそれはなんだッ!? 何なのだ!?」
光が収まっていく。
ようやく視界を確保したウィザードは、ムー大陸の上空___そこで白い光を纏う、翼を生やした人物を見た。
装備は大きく変化しているが、それは間違いない。
それは。
「シンフォギアアアアアアアアアアアアアアアアアアア! エクスドラアアアアアアアアアアア?」
白く、輝く。立花響の姿だった。
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