第四章 ダークサイドオブ嫦娥
最終話 復讐の一区切り
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の神を退ける能力により、どうあがいても彼女の下へは辿り着けなかったのだから。それでいながら気付いてあげられなかったとは善人面もいい所であろう。
だから、純狐はこう言い直すのだった。
「いえ、勇美さんのお陰であなたの苦しみを知る事が出来たのです。だから、彼女には感謝しています」
「純狐さん……」
話の話題を突如自分に振られて少しドギマギしてしまう勇美。だが、純狐の嫦娥に対するわだかまりが少しづつ雪解けをみせている今のこの状況を大切に思いながら見守っていたのだった。
そんな勇美に対して、純狐は更に彼女の心を跳ね躍らせてしまうかのような事を言うのだった。
「でも、苦しんでいるだけでは前に進めないのです。健全に生きるには楽しまなければいけないのです。それも勇美さんから学んだ事なのですよ」
「はうっ……!」
こうも純狐にベタ褒めされてしまっては、14歳の少女たる勇美のうぶな心は濃厚なシチューのように熱く蕩けてしまいそうになってしまうのだった。
そして、そんな純狐に対して言葉を返す。
「でも、楽しむといっても私は……」
そう言って嫦娥は俯く。彼女は蓬莱の薬を飲んだ事により月に幽閉されている罪人という立場なのである。そんな自分に『楽しむ』という機会などあるだろうか?
その疑問に対して答えたのは依姫であった。
「月でそれが出来ないのなら、幻想郷に来ればいいでしょう?」
「幻想郷に……ですか?」
「ええ。受け売りの言葉だけど、幻想郷は全てを受け入れます。例え蓬莱の薬を飲んだ貴方であっても」
その言葉はとても説得力があるのだった。現に依姫が良く知る蓬莱人となった月の民が二人もそこには存在するのだから。
だが、嫦娥の疑問は尽きなかった。
「でも、私は月に捕らえられている罪人なのですよ?」
「ですが、貴方はこうして今回玉兎達の力により拘束から逃れたでしょう? 故に月の民の力では貴方を捕らえ続ける事が出来ないと証明されたも同然です。なので、その事も踏まえて貴方を地上へと流刑するという名目の下に幻想郷へと住まわせましょう」
「成る程……分かりました。ではその言葉に甘えさせて頂く事にしましょう」
依姫のその機転を利かせた発想により、嫦娥は新たな幻想郷の住人となる事が決まったのだった。
だが、これで全てが丸くなった訳ではないのである。それは、ヘカーティアの事であった。
彼女もまた、嫦娥の夫の被害者であり、その恨みを忘れた訳ではないのである。例えその矛先を嫦娥に向ける事が真っ当なものでなくとも、彼女の怒りは本物なのだから。
そこでヘカーティアの前に、嫦娥をかばう形で立ちふさがったのは勇美であったのだ。
彼女は、先程嫦娥が気絶している間に純狐から聞かされた彼女の過去を聞き、彼女には手を差し伸べなければならないと深く想
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