第四章 ダークサイドオブ嫦娥
最終話 復讐の一区切り
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嫦娥は昔の事を思い出していたのだ。かつて無二の親友だった純狐との仲睦まじかったあの時の事を。
その事を思ったのは久方ぶりであろう。彼女はそう無意識の中で思考を巡らせていたのだった。
そして……、彼女はその意識の中から目覚める事となる。
「んっ……」
そう気だるそうに呻き声をあげ、嫦娥はその意識を覚醒させるに至っていった。
そして、徐々に今の自分の状況を把握する。
確か、勇美との戦いの中で彼女は純狐の力を借りて自分にぶつけ……そうである、その後の意識が無くなっていたのだった。
つまり、あの時の攻撃により自分は負け、そのまま気を失っていたという事であろう。
そこまで理解した時、今自分がいる場所はと認識が向いていったのである。そして、思いもよらない事実に嫦娥は息を飲んで言ったのだった。
「純狐……あなた何をして……?」
咄嗟に彼女がその名を呼ぶ理由。それは、何と純狐が気を失っていた嫦娥を自らの膝枕という形で見守っていたのであった。
一体どうなっているというのだろう? 何せ、彼女は今まで自分を仇として常に追っていた存在なのだから。
その嫦娥の疑問を代弁するかのように、純狐は口を開いた。
「嫦娥……済まなかったですね。勇美さんの助力であなたの下へと辿り着いた時、あなたの心を感じ取る事が出来たのですよ」
「……」
思いもよらない純狐の態度に、嫦娥は呆けてしまい無言を貫いてしまう。そこへ勇美が話の中に入り込んできた。
「嫦娥さん、今回の異変を起こしたのって……」
「さすが勇美さんね、察しがいいわ。そう、純狐とヘカーティアが行動を起こしたからです」
それは他でもなかった。彼女ら二人が月の異変の要因となる復讐を大々的に行ったのが嫦娥が今回行動を起こした理由だったのだ。
自分が罪人になってさえいれば月に幽閉されて誰も容易には近づけないだろうと思っていたのだ。だが、現実は純狐とヘカーティアの二人は正に彼女に迫らんばかりの事を起こしたのは知っての通りであろう。
故に、嫦娥は思ったのだった。今回のように月を巻き込む異変を起こせば自分は更に重罪となり、これこそ本当に誰も近付けないような場所へと厳重に幽閉してもらえるだろうと。
「でも、嫦娥さん。あなたは悪い人にはなれませんよ」
それが勇美の結論だった。何せ、嫦娥と彼女に仕える玉兎達はスペルカードのルールに乗っ取って異変を起こしたのだ。それは月の都転覆などとは程遠い律儀な行為と言えよう。
純狐の物言いに呆け、そして今回の異変を起こした動機を赤裸々に語った。そんな嫦娥に対して構わず純狐はこう言った。
「嫦娥、あなたも苦しんでいたのですね。今まで気付けなくて……」
そう純狐は言おうとしてそこで言葉を区切った。
その言葉は偽善になるだろうから。自分には嫦娥
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