第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第17話 月の罪人:後編
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今必要って事なんです。……力を貸してくれますか?」
「……無論です」
その勇美の申し出に純狐は断る意味などなかったのだ。今正に仇敵たる嫦娥を追い詰めるチャンスであるのだ。そして、新しく友となった勇美の願いを断るなどとは思わなかったのだ。
そして、互いの意思を確認し合うと、神霊たる純狐は勇美の半身の機械のマックスへと取り込まれていったのである。
その後、マックスと純狐の姿と気配がこの場から掻き消えたのだった。それに対して嫦娥は首を傾げる。
「どうしました? 純狐の力を使って何かするのではなかったのですか?」
嫦娥は自分と因縁のある純狐がこの場に呼び出されてもなお平静を保っていた程彼女は冷静なのであった。
だが、次の瞬間、その冷静さが覆る事となるのだった。
「これは!?」
初めて驚愕の声を出す嫦娥。その理由は彼女の足元からみるみる内に機械で構成された壁が構築されていったからである。
ガチャガチャとどこか非現実的な音を出して瞬く間に嫦娥を覆う形で機械の壁は形成されていった。
そして、気付けばそれは彼女の360度全方を取り囲んでいたのだった。それも、立派な塔の形となって。
「ですが、この程度私の光の剣で!」
当然嫦娥も相手にされるままでいる訳はなく、手に持った非現実の産物の刃でその塔の壁面を切り裂こうとする。
だが、その光の刃の侵入は防がれてしまったのだった。それは純狐の純化能力によるものである。彼女の能力により光の刃は『完全に壁面を傷付けられない』ようにされていたのだった。
弾幕ごっこには隙間を作らなければならないルールがあるが、勇美はそれを破っている訳ではなかった。
形成された塔は筒状であり、上空へと向かえば逃げる事は出来るのである。嫦娥程の力の持ち主ならそれは造作もない事であろう。
だが、自分の攻撃が純粋な無にされてしまった嫦娥は、普段の平静さを乱してしまい、そこまで気が回らなかったのである。
そして、そんな嫦娥にとどめを刺す形で勇美はそのスペル宣言をするのだった。
「【終焉「バベルの破壊塔」】」
その後は一瞬であった。塔の付け根から上空にまで一瞬にして純度の高い出力の光の柱が放出されたのだった。当然その攻撃を嫦娥はその身で一身に浴びてしまっていたのである。
その最中、嫦娥は思っていた。
──これが純狐の力……。そういえば私の神を退ける能力の為に、純狐に思いっきりぶつかってもらえる事などなかったっけ──と。
そのような、どこかこそばゆい想いの中で、遂に彼女は光の奔流に飲まれていったのだった。
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