第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第17話 月の罪人:後編
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をまともに受ければ、自分はひとたまりもないだろうと。
それに、先程のやり取りから分かるように、人間たる勇美は既に消耗しきっているである。
もし余裕があれば、自分も光の剣を形成してSFファンタジー映画の最高傑作の騎士のような打ち合いをして見たいと思う所であったが、今の現状ではそうも言ってはいられないというものだろう。
なので嫦娥には悪いが、勇美はまともにやり合わずにここで勝負を決める事にしたのだった。──それもとっておきの秘策で以て。
「いざ、参りますよ」
勇美がそう脳内で構想を練っている間に、嫦娥が今正に攻撃を再開するのだった。
そして、一気に勇美の下へ踏み込むと、その光の刃を振りかざしたのである。
それにより、ブオンとこれまたあの映画の光の剣の如く独特の空を切る音がした。それだけでもこの威力がいかに高い事が窺えるであろう。だが、間一髪で勇美はその攻撃を回避する。
いよいよを以って長期戦は降りだと勇美は判断した。そして、敵の二撃目、三撃目とかわしながら勇美はある神へと呼び掛けを行うのだった。その神とは……。
「純狐さん……聞こえますか? 私です、黒銀勇美です」
その呼び掛けに、すぐさま純狐は応える形となる。
『勇美さんですか、どうしましたか? それにしても、この茶屋のお団子は美味しいですね』
そう、今正に純狐は絶賛、幻想郷の茶屋で憩いの一時を過ごしていたのだった。
「ええ、そのの茶屋は私もお気に入りなんですよ〜……って、今はそれどころじゃないんですって!」
『どうしたの、勇美さん?』
そう切羽詰まった様子の勇美に対して、純狐は何事かと聞く──だが、あくまでまったりとお茶の時間を満喫しなら。
しかし、次の勇美の言葉で彼女は血相を変える事となるのだった。
「今、私は嫦娥さんと戦っているんです。そして、純狐さんの力が必要という事なのですよ!」
『何? 嫦娥……!? 分かった、すぐ行く!』
よもや純狐がその名前を聞き間違える筈もなかったのである。彼女は憩いの時間を惜しげもなく切り上げると、そのまま神霊として勇美の下へと向かうのだった。
ちなみに、最後に一瞬「食い逃げだー!」という声が聞こえたのを勇美は一先ず無視しておく事にした。
そして、後日純狐に払わせようと思うのだった。そう、払わせるのである。これは純狐が食べていた分だから、勇美には代わりに払う義務など全くないのだから。
ともあれ、神霊としての特性により、純狐は一瞬にして勇美の下へとやって来たのだった。
「勇美さん……どうやら嫦娥と戦っていたというのは本当のようですね?」
純狐は今勇美と対峙している相手を見据えると、それは確信になるのだった。よもや自分が仇として追っている相手の姿を見間違う筈もなかろう。
「ええ、だから純狐さんの力が
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