第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第16話 月の罪人:前編
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であった。
「【超符「エスパースパーダ」】……」
その宣言の後であった。嫦娥の右手には立派な蛮刀が握られていたのだ。
(エスパー……)
その言葉を聞いた勇美は、その時点で読みを始めたのだ。そこから察するに恐らく……。
そして、その蛮刀を嫦娥はその場で振るったのだった。そう、勇美から離れたその場で。
(私の読み通りだった!)
そう心の中で歓喜した勇美。加えて、嫦娥が振るった刀から念導力の刃が放出された事も彼女の察していた通りの展開だったのだ。
ならば、勇美はその攻撃に対して自分の行動を合わせるだけである。この瞬間に勇美が使う力は決まっていたのだった。
「【鏡盾「ミラーシールド」】!」
そう言うと勇美は石凝姥命の力を自身の分身の機体・マックスへと送り込む。すると、彼女の右手には見事に磨かれた鏡の盾が握られていたのだった。
その鏡面を勇美は敵の繰り出した念導波へとあてがったのである。そして、見事にその攻撃を弾き返す事に成功するのだった。
文字通り弾き返したのである。その攻撃は真っ直ぐに嫦娥の元へと送り込まれて行く事となった。
「甘いですね」
そう短く言うと、彼女は咄嗟に身を翻して最低限の動きでその攻撃の回避運動を行ったのであった。
自分の攻撃がそう易々と返される機会というのも中々ないだろう。だが、その局面に立っても嫦娥は動じずに対処した辺り、やはり彼女の力量の高さというものが伺えるだろう。
だが、実は動じてはいないのは嫦娥だけではなかった。咄嗟に避けた嫦娥を見据えながら勇美の眼光は鋭くなっていたのだった。
「……【影弾「シャドーショット」】」
そう勇美が宣言した瞬間だった。今しがた自身の攻撃の反射を避けた嫦娥の足元から、数発の弾丸が撃ち出されたのである。そして、それらは全てしたたかに嫦娥に命中する事となる。これは三日月の塔でも使役した『ヒドゥン』の力によるものである。
「っ!」
突然の事であったために、嫦娥は受身を取る事が出来ずにその攻撃を全てもらう事となってしまった。彼女に飛び掛って行ったその『影の弾丸』は、彼女に命中すると次々と黒い爆ぜを生み出したのである。
そして、体勢を崩してしまった嫦娥は思わず手に持った念導力の媒体である蛮刀を手放してしまったのだった。
それが床に落ちるとまるでガラス細工のように粉々に砕け、そして霧のように溶けて消滅してしまったのである。どうやらこれは嫦娥の力で作り上げたエネルギー体の武器だったようで、彼女の管理化から離れたそれはその形を維持出来なくなったようだ。
だが、そのような状況になっても彼女は冷静なようで、難なく体勢を立て直すと、再び勇美との適度な距離を取ったのであった。
そんな中、嫦娥はおもむろにその口を開く。
「見事ですよ……勇美さんと言いまし
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