第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第16話 月の罪人:前編
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しい結論であるのだった。
だが、玉兎達から返って来た答えは意外……いや、ある程度予想出来た事かも知れなかった内容である。
「いや、私達が退けられた以上、嫦娥様が直々にお目見えする事だと思うよ」
「つまり、真打ち登場って事で」
それを聞いて、依姫達は気が引き締まる思いとなる。
「いよいよ……ですね」
「そういう事のようね、じゃあ私は勇美ちゃん達を連れ戻して来るからね」
「ええ、お願いね」
ここに『なるべく早くね』という言葉が入らない辺り、依姫は豊姫の能力や彼女自身の事を良く理解している裏付けなのであった。さすがは互いにその持ち味を引き出し合う仲睦まじい姉妹であるが故のようだ。
◇ ◇ ◇
依姫の読み通り、豊姫の三人の出迎えは五分も経たない内に迅速に行われていったのだった。何せ、物理法則を無視して瞬時に行きたい場所へワープしてしまえる彼女の能力なのだ。これには時間が掛かる要因の方が見当たらないというものだろう。
そして、豊姫は勇美達を連れて、あっという間に依姫達の下へと戻ってきたのである。
「お待たせ〜♪ みんな連れて来たよ」
「ええ、ありがとうお姉様」
自分の姉の奮闘を労う依姫。そこへ加えて連れられて来た三人は口々に言葉を放つ。
「依姫さん。どうやら私うまくやったみたいです」
「私もうまくやれたようですね」
「全く、女神たる私がこのような事をするとは思ってもみなかったぞ。楽しかったからいいが」
「三人とも、ありがとう」
そんな勇美達にも労いの言葉を掛ける事を依姫は忘れはしなかった。
そして、勇美達は再開の喜びを一先ず置いておいて本題に入る。
「後は、ボスキャラの登場を待つまでですけど……その人は一体どこにいるのですか?」
「ええ、今の所その気配はないけれど……」
勇美の疑問に依姫が答えている、正にその時であった。その空気の変化にいち早く気付いたのがヘカーティアである。
「! お前達、『来る』ぞ!」
彼女が一番にそれを感じ取る事が出来た要因。それは他でもなく、彼女がその者との因縁がこの場にいる者達の中で一番深いが為であった。
そう、彼女こそが今現れる『月の罪人』たる嫦娥と最も因縁の深い存在なのだ。
そして、ヘカーティアが指を指した場所へ皆が目を向けていると、そこに突如として力場が現出したのであった。
「!?」
ただならぬその雰囲気に勇美を始めとした者達が思わずたじろいでしまう。
そう、綿月姉妹やヘカーティアといった有力者の力を身近に目の当たりにしてきた勇美であってもそれには身を引いてしまう所なのであった。
その理由は、嫦娥から発せられる力場が極めて異質だからであった。依姫のような誠実さを感じさせるような信頼出来るような形でもなく、女神たるヘカーティアのような神々し
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