第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第15話 炎の使者と地獄の変態:後編
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いでしょうね……仕方ない」
そう言うと彼女は新たなスペルカードを取り出したのであった。それも、彼女のとっておきでの……である。
「これで勝負を決めるわよ! 【直火「サンシャインロード」】!」
こうしてマチの切り札のスペルは切られたのだ。そして彼女の両手にはおびただしい炎のエネルギーの群れが集まっていった。
そして、それを迷う事なく彼女は惑星蜂雀のいる前方目掛けて撃ち出したのだった。最早、この子が可愛いからといって手加減している余裕などないだろう。
マチが放ったそれは、正に弾幕と言うに相応しい炎の弾丸の群れであった。しかも、先程発火道具を媒体にした時のそれよりも一発一発の玉がバスケットボール大の代物なのであった。当然一つだけでも相当な威力があるだろう。
マチが言った通り、彼女はこれで勝負を決める気でこの猛攻を仕掛けたのだった。──だが、それは正にヘカーティアが望んだ展開なのである。
「惑星蜂雀、あれをやっちゃいなさい」
その指示に頷くような仕草を見せたかと思うと、彼はそのストローのような口を、敵の放った炎の弾幕へと鞭のように振りかざしたのである。
そして、何と彼はその弾をそのストローで吸い込んでしまったのだった。
勿論それは一度だけでは終わらなかったのである。彼はそのストローで迫り来る弾幕を貪欲に次々と余す事なく取り込んでいったのだった。
こうして、あろう事か彼は全ての敵の弾をその身に取り込んでしまったのだ。
確かに『星蜂雀』はあらゆる生き物の中で最も高い体温を持つ存在である。だが、今こうして炎を飲み込んでしまった彼はその範疇を優に越えた事をやってのけたというものだろう。
これが、ヘカーティアの使役する地獄の生物の成せる業なのであった。
「そんな……嘘でしょ?」
当然マチはその常軌を逸した現実に開いた口が塞がらないのであった。それもそうだろう、何せ自慢の切り札的な自分の弾幕がこうも簡単に破られたのだから。
だが、彼女にとっての不運はここで終わりではなかったのだった。
「いい子だ、これで『キャッチ』を済ませたから、後は『リリース』と行くべきだな」
「えっ……?」
血相を変えてマチが聞き返す間も彼女には与えられなかったのだった。惑星蜂雀はストローを高らかに掲げたかと思うと、その切っ先をマチへと向けたのである。
後は察しの通りかも知れない。その先端から先程彼が取り込んだ炎の弾という弾が惜しげもなく吐き返されていったのだった。当然それはマチ目掛けてである。
「んなっ……!?」
こうしてまともな叫び声を出す暇さえ与えられずに、マチは炎の奔流へと飲まれてしまったのであった。
◇ ◇ ◇
ここは満月の塔の最深部。そして、そこで行われた勝負の行方は……最早語るまでもな
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