第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第15話 炎の使者と地獄の変態:後編
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ぐ気だったな)と憤慨していた。
対して、ヘカーティアは心底残念そうにこう呟くのだった。
「仕方ないな、これは普通だからつまらないと思っていたんだが」
そう言うとヘカーティアは自分の手を服の焦げてボロボロになった部分にあてがったのだ。すると、みるみる内に単細胞生物の細胞分裂の如く瞬く間にかけた部分が再生していったのである。
「へえ……便利ね。一体どうやったの?」
「何、『普通』に地獄から冥力を取り出して物質化して服の足りない箇所を補ったまでさ」
「うん、それ『普通』って言わないから。後、再生出来るのなら最初からそうしなさいって」
「いや、それだと少年漫画的にオイシクないだろ?」
「……もうツッコまないからお好きにどうぞ」
マチはこうして考えるのをやめる事にしたのだった。女神なのに少年漫画とか、最早真面目に考察する気も失せるのだった。
「まあ、そう言いなさんなって。私はお前さんの事を改めて立派だと思ったまでだからな。そんなお前さんに敬意を示す意味合いで、この子を召喚させてもらうよ♪」
「召喚……と?」
その弾幕ごっこでは余り聞き慣れない言葉にマチは首を傾げるのだった。そんな彼女に対してヘカーティアは意気揚々とその為のスペルを発動する。
「【熱蜂「惑星蜂雀」】!」
これまた聞き慣れない名称の宣言の下に、ヘカーティアの側にエネルギー場が現出したかと思うと、次元をこじ開ける形でその存在は現れたのだった。
それは、巨大な虫であったのだった。こう記述するとおぞましい印象を思い浮かべてしまう方が多いだろう。
だがその虫は、虫でありながら鳥のようなフォルムと毛並み、そして蝶のようなストロー状の口、そしてエビフライのような尾部……。
と、このようにどこかユーモラスで愛らしい造詣をしていたのだった。とどのつまり、その虫に対するマチの感想もこうなるのである。
「か、可愛い……♪」
気付けば彼女はその虫へと歩みより、その触り心地のよさそうな体を撫で回していたのだった。
「うん、もっと触っていいんだぞ。この子も喜ぶだろうからな♪」
破顔しながら自分の自慢の使いの虫を愛でるマチに対して、ヘカーティアも気を良くしてその様子を見守るのだった。
だが、ヘカーティアよりもマチは数段真面目な性格をしているのである。故に、すぐさま気を引き締めて再び臨戦態勢に入ったのである。
「危ない危ない、私とした事が敵の罠に嵌る所だったわ」
「別にとって喰おうとかしないから安心しなさいって」
律儀に緊張感のある振る舞いに戻るマチに対して、ヘカーティアは勿体なさそうに感じていた。
そして、改めて敵の召喚した使いを見ながらマチは言う。
「造詣は可愛いけど、やっぱり大きくて重圧感を感じるわね。これは生半可な攻撃は通用しな
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