第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第15話 炎の使者と地獄の変態:後編
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心するばかりである。
幸い、マチはさほどその事を気にしてはいない様子であった。再び踏み込みの構えになったのがその証拠であろう。
「では、もう一度行くわよ」
「ああ、どっからでも掛かって来な」
ヘカーティアのその言葉を受けて、マチは再び踏み込むと敵の懐へと向かったのだ。そして、再度剣を振り抜く。
「はあっ!」
だが、ヘカーティアは落ち着いてそれに対処する。
「さっきの攻撃で感覚はつかんでいるから、もう炎で相殺するまでもないな」
そう言うと彼女は軽々と身を引くと紙一重でマチの剣戟をひらりと避けたのである。
だが、どうやら紙一重というのがこの場合良くなかったようだ。マチは今この場に振って沸いた好機を生かすべくこのスペルを発動する。
「【剣技「火の燕返し」】っ!」
その宣言と同時だった。彼女の剣の軌道が一気に方向転換したのであった。
もちろんその先にはヘカーティアの体があったのだ。そのまま剣の軌道はそこへと向かっていく。
加えて、その剣には轟々と激しい炎が一瞬で生まれたのだ。その刃と炎の二重の攻撃手段は見事にヘカーティアの肉体を捉えたのであった。
「っ……!!」
一瞬の事にヘカーティアは声もあげる事が出来ずにその攻撃をもらってしまったのだ。炎の炎上と共に彼女は吹き飛ばされてしまった。
──今度は手応えがあった。マチはその感触と、今しがた吹き飛ばされて床に伏したヘカーティアを見て、今のはかわされる事はなく無事に届いた事を確信するのであった。
後は油断する事なく止めを刺そうと彼女は再度踏み込みの姿勢を見せる。
そう、この相手に余裕などを見せている隙などないのである。故に確実に勝利を手繰り寄せるべくマチは画竜点睛に入ろうとする。
だが、そうはうまくいかないようであった。ヘカーティアはむくりと起き上がると、ポリポリと頭を掻きながら言うのであった。
「いやいや、お前さんを少しばかり過小評価していたようだ。今のは文句なく効いたよ」
そう言うヘカーティアは服が少し焼け焦げて、見るのが少々痛ましい姿となっている。確実に今のマチの攻撃が効いた証であろう。
「あーあ、この服はお気に入りなんだけどな。仕方ない……」
そう言ってヘカーティアは──その手をおもむろに……。
「いやいやいや! 何脱ごうとしているのよ」
その暴挙は無事にマチに阻止されたのであった。めでたしめでたし。
「だって、もうボロボロだからな。こういうシチュエーションでは脱ぐのが筋ってもんだろ?」
「例えば地球育ちの戦闘民族とかって、れっきとした男性だからね! それを女性であるあなたがやっちゃダメでしょ!」
「何だ、つまらない」
ヘカーティアはそう言われて面白くなさそうに口を尖らせるのだった。その様子を見ながらマチは(こいつ、本気で脱
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