第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第14話 炎の使者と地獄の変態:前編
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まりない能力なのである。
そして、忘れてはならないのがヘカーティア自身である。彼女の基本体である『異界』も火の扱いに長けた存在であるが、彼女達はひっくるめて『三つの体を持つ』のが能力となっているのだ。
故に目の前のマチは正真正銘の『火を操る能力』という逆に珍しい存在という訳であった。
「そんなに珍しいかしら?」
「ああ、貧乳より希少価値だな」
「……くっ、自分が大きいからって……」
それはマチにとって触れてはいけない事なのであった。つまり彼女は和服を着ているからわかりづらいが、実は……という事なのだ。
(勇美と同じ悩みを持つ子だったか。これはからかい甲斐……いやそれは可哀想だ。そうだな、今度勇美に合わせてあげるか。いい友達になりそうだ)
と、ヘカーティアは少し先の未来を想起して楽しみが増えたなと内心ほくそ笑む。そうしながらも、彼女は確認のためにこう言った。
「でも、おいそれと自分の能力を明かして良かったのかい?」
「私には能力を警戒させて相手の出方を鈍らせる趣味はないからね。そんなまどろっこしい真似は好きじゃないわね」
「うん、お前やっぱりいい子だな」
そう言ってマチの振る舞いを見ながらヘカーティアは頷くのだった。こういうサッパリした性格も勇美と合うんじゃないかと思う所なのである。
ともあれ、両者の攻撃は共に防がれる事となった今、勝負は仕切り直しとなっていたのだった。
そして次に出たのもやはりヘカーティアであった。
「じゃあ次はこれで行きますか。【冥炎「ヘルファイア2」】♪」
ヘカーティアは宣言後、再び右手に炎を灯した。だが、先程とは違うスペルであるが故に当然その様相は違ったのであった。
今度は左手も使っていたのである。それも、見事なまでの右手の赤い炎とは対称的に、左手のは青白く燃え盛る異質な代物となっていた。
そして、その異なる色彩の炎をヘカーティアは手を交差させる事で混ぜ合わせたのだ。
それにより赤と青の炎は溶け合い、鮮やかな縞模様ともまだら模様ともつかないハーモニーを生み出していたのである。
その炎の混合物をヘカーティアは当然敵へと向けて撃ち出した。そしてマチをその芸術的な炎が襲い掛かるのだった。
「何か多芸な事してくれたけど、要は炎には変わりない訳でしょ!」
だが、マチはそれに対して冷静に向き合っていた。見た目が変わっても、やってる事は変わらないのだから、その対処も変わる事はないのだと。
なので、マチのやる事も先程と同じなのであった。
「もう一回頼むよ。火路の源の弾幕!」
言うと再びマチは先程と同じ箱詰めの木の発火道具を取り出すと、それを同じように妖力を籠めて宙へと放り投げたのであった。
その動作は手慣れたものであった。それは合理的な考え方をモットーとする彼女ならでは
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