第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第14話 炎の使者と地獄の変態:前編
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ルールに乗っ取った戦いとはいえ、相手が万全の状態で向かって来る事にマチは安心感を覚える所なのであった。
「まずはこんな所かな。【獄炎「ヘルファイア」】♪」
そう宣言するとヘカーティアの右手に炎が灯ったのであった。それを彼女は迷う事なくマチ目掛けて振りかざしたのであった。
そして、炎の弾幕はマチへ一直線に向かっていった。だが、この様子見な攻撃にエリート玉兎たるマチが慌てるよしもなかったのであった。
「この程度、お茶の子さいさいって所よ。【妖陣「火路の源の弾薬」】♪」
その宣言の後にマチは、懐から何かを取り出したのであった。
それは、木の棒の先に赤い発火性の薬品を備え付けた物が、小さい紙の箱にびっしりと入った、火を付ける為の最もポピュラーなアイテムであったのだ。
だが、当然それを全て一々紙のやすり部分で着火などさせていては敵の攻撃には間に合わないだろう。第一そのような灯火程度の火では攻撃にすら力不足というものだ。
なので、マチは当然この道具の本来の使い方ではない運用方法を用いるのであった。彼女はその箱に自身の妖力を籠めると、そのまま箱の中身を空中へとぶちまけたのである。
そして、宙にぶちまけられた木の発火道具は擦られる事もなく炎に包まれたのだ。
加えて、弾幕に使用するからには生半可な炎では話にならないだろう。故にこの木の棒はそれぞれがその体積の十倍以上の炎に包まれていったのだった。
これも、マチが木の棒に妖力を籠めたからに他ならなかったのだ。普通の発火道具をこうして武器に出来てしまうのは妖怪ならではといえるのだった。
そして、炎に包まれた無数の木の棒達は弾幕となってヘカーティアの放った地獄の炎へと向かっていったのである。
そして、炎と炎がぶつかり合い、その力は相乗して一気に爆ぜた後に相殺されたのだった。
「……」
「……」
ヘカーティアとマチは今しがた起こった爆炎が収まった後の光景を見ながら、互いに無言を決め込んでいたのだった。
だが、その沈黙はずっと続きはせず、最初に切り出したのはヘカーティアであった。
「いや、お前さんやるね。様子見とはいえ私の弾幕を相殺するなんてね」
「ええ、これでも私の能力は『火を操る』ものだからね。つまり私は火の専門家って事」
「これはこれは。中々珍しいものを見させてもらったよ」
そうヘカーティアは本心から感心して言うのであった。そして、改めて彼女は自分の知る『火を扱う者達』を思い起こしていく。
まず思い至るのは自分の旧友の主と因縁関係にある竹林の焼き鳥である。だが、彼女の能力は『不死を操る』ものであり、火は専門ではないのだ。
そして、主が勇美と仲の良い赤づくめの館の紫一色の魔法使いである。だが、彼女も『日月火水木金土』と火だけでなく七種類もの属性を操る器用極
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