第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第13話 満月の塔 SIDE:H 後編
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ヘカーティアの『異界』の体が向かったルート。そこに彼女は当たりをつけるのだった。
「敵さんのお出ましだね」
「みんな、やるよ!」
「おおー!」
そう口々に言葉を放つのは、言わずとしれた玉兎達の面々だ。
正解のルートを守るために戦力を配備する。こうも分かりやすくて何よりだと思いながら『異界』は口を開くのであった。
「いいよこういうの……いよいよを以て『あーるぴーじー』らしくなってきたじゃないの♪」
そう意気揚々と『異界』は言うと、片手に神力を籠め始めながら更に言葉を続けた。
「生憎他の二つの体は別行動をさせてるけど、お前達なんかこの『異界』だけで十分さ」
「何をー!」
その『異界』の挑発めいた言葉を受け、玉兎の一羽はいきり立ったのである。そして、それに続いて他の玉兎達も士気を高揚させていった。
「生意気だねー!」
「やっちまえー!」
だが、現実というものは非情なのであった。
玉兎の相手は地獄の女神なのだ。つまり神の領域に存在する者である。
最早それは一方的もいい所なのであった。『異界』は手に籠めた炎の力を弾幕に変えて、次々と敵の群れを撃ち落としていったのである。
「ぶべらっ!」
「はべらっ!」
「もぐらっ!」
このようにして、敵の兵士はどこか変な叫び声をあげながら面白いように沈んでいったのだった。
「ざっとこんな所だな……」
こうして敵の群れを呆気なく殲滅した『異界』は、何事もなかったかのように先を進んで行ったのである。
そして、彼女の前にそれは現れる事となる。
──頑丈そうな扉であった。素材自体は床と同じ水晶で出来ているが、それが異質な代物である事を『異界』は早々に見破るのであった。
「……成る程、月のエネルギーで防御を固めているという訳か……」
つまり、これには月の技術の英知が注ぎ込まれているという事である。
──強行突破は難しそうだな。『異界』はそう結論付けるのだった。
かと言ってこの扉の目の前に来ても自動で開くというような兆しは見せないのである。
なので、もう少しこの扉を調べてみようかと、そう思った所で『月』から念話による連絡が入ったのであった。
『『異界』よ、聞こえるか?』
「どうした、『月』よ?」
『こっちで宝箱……なる物を見つけてな。その中を調べてみたら『スイッチ』のような物があったって訳だ』
「でかした♪」
そう言って『異界』はジャストタイミングでいい仕事をしてくれた『月』の事を労うのであった。そして、そのような反応を見せた『異界』の様子から、ますます自分の読みが正しかった事を『月』は察するのであった。
『その様子だと、どうやらビンゴのようだな』
「ああ、全くだ。それじゃあ早速それを押してくれ」
『承った』
そう『月』からの言葉があると
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