第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第13話 満月の塔 SIDE:H 後編
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と見抜いていたのだった。
そうしてヘカーティアは人間だったら吊り橋を渡るかのような度胸を要する橋渡りを難なくこなして、向こうの岸まで辿り着いたのであった。
「何て事はないね……」
それがヘカーティアのこの橋渡りへの率直な感想であった。
本当に彼女にとって日常茶飯にも劣る出来事であったのである。でなければ地獄の統括などおいそれと出来るようなものではないだろう。
そして、何の問題もなく進んでいた彼女の目の前に再び『それ』は現れたのであった。『それ』を見ながらヘカーティアは頭をポリポリと掻く。
「やれやれだな……またか?」
そうヘカーティアがぼやくのも無理はないと言えよう。何せ、彼女の目の前には性懲りもなく先程と同じスイッチが現れたからである。
「全く……これも踏めばいいのだろう」
言ってヘカーティアは全く同じ動作でスイッチの上へと乗った。
そして、通例が如く目の前にはエネルギーの橋が現出して道が開けたのである。
「何と言うか……芸がないな。後はまた渡ればいいのだろう?」
そう言ってヘカーティアは、最早作業的だと漏らしつつも、先へ進むべくスイッチからその身を離したのである。
それは橋を渡るのは当然自分の身だから必然的に行う事だろう。だが、その事実を嘲笑うかのような事が起こったのである。
確かにスイッチを押した事で仕掛けは作動して橋渡しはされたのであった。だが、今ヘカーティアがスイッチから降りた瞬間に、まるで逆再生するかのように橋がかき消えていったのだった。
「ほう、これは……」
この事態に、最早飽き飽きとしていたヘカーティアも興味をそそられたのである。
そして、もしやと思い、再びその身をスイッチへと預けたのだ。
すると、これまた再び目の前にはエネルギーの橋が架けられたのであった。そこでヘカーティアは合点がいく。
「うむ、これはずっとスイッチに乗っている限りは仕掛けが作動しているという訳か」
つまり、常にスイッチの上にいなくては橋は継続しないという事である。
本来ならばどこか別の場所を散策して重りのような物を代わりに乗せるような処置をしなくてはいけないだろう。何せ体というものは一つしかないのだから。
だが、この仕掛けにとって今の相手は余りにも相性が悪かったのである。前述の『体は一つ』がこの相手に対しては見事に例外となってしまうのだから。
この行為はゲームでは反則になるかも知れないが、ヘカーティアは敢えてこれを実行する事にしたのである。
確かにこの塔の攻略は楽しい。だが、今のこの状況は嫦娥を追い詰める絶好の機会なのだ。故にいつまでも遊び感覚でやっている暇はないというものであるのだ。
なのでヘカーティアは迷う事なく、『スイッチを押したまま、そこから離れた』のである。
つまり、そこ
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