第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第13話 満月の塔 SIDE:H 後編
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同時であった。『異界』の行く手を今まで強固な守りで阻んでいた扉は、まるで憑き物が落ちたかのようにすんなりと開いていったのだった。
つまり、シンプルな話である。正解ルートは確かに『異界』が進んだ道であったが、そこにある扉を開くには『月』のルートにあった宝箱の中のスイッチを押さなければならないという事という訳であったのだ。
つまり、普通に攻略していれば、どうしてもスイッチを押す→正解ルートへ行くという二度手間になるという構造だったのである。
だが、ヘカーティアは自身の特異な能力で一回の手間でこなしてしまったという事である。これにはこの『満月の塔』を建造した技術者も涙目というものだろう。
まあ、こういうのはクリアした者勝ちであるから、違法な改造コードを使うようなケースでもない限りある程度は許容範囲というものだろう。
それはそうと、第一関門を突破した『異界』は皆に召集命令を下す事にした。
「『地球』に『月』よ、戻って来い。これで道は開けたからな」
それに対して他の二人は否定する意味合いなどないために、素直にその指示に従う事とする。
そして、まずは『月』が『異界』の目の前へと現れたのだ。
そう、ヘカーティア達はそれぞれの肉体の場所へ、他の肉体を瞬時に移動させる事が出来るのである。これも女神たる所以なのであった。
「よくやった『月』。お手柄だぞ」
「まあ『異界』の役に立てるならお安いご用というものだよ」
「さすが私だ。素直でよろしい」
そうしてヘカーティア達は自分で自分を褒めるという芸当をこなしていたのだった。
アスリート等の精神強さが求められる役職の人が自らを鼓舞する手法として自分自身の奮闘を自分で評価する事が本来の意味での『自分で自分を褒める』だが、このヘカーティア達のように文字通りの場合は一体どうなるのだろうか?
その答えはヘカーティアにしか分からない常人には理解不可能な概念であるが、当面の目的は彼女ら三人全てを自身の力でこの場に呼び寄せる事にある。
今こうして『月』はこの場に無事呼び寄せられた訳である。後は『地球』も呼び戻すだけであるので、『異界』は続けて念話で彼女へ呼び掛けたが……。
「『地球』……。早くパンツ穿いて来い……」
『異界』が呆れながらツッコミを入れたとおり、『地球』は今絶賛ノーパンの刺激を堪能中なのであった。
『あっー、ちょっと待ってくれ。この快楽はそう簡単には手放せないからな……ンギモッヂイイ♪』
「ノーパンになどいつでもなれるだろう、早く来い」
破廉恥な快感に身を預ける『地球』も『地球』であったが、さりげなく問題発言する『異界』も『異界』なのであった。
だが、こんな不毛なやり取りをしているが、彼女達はれっきとした一つの存在なのである。だから『地球』の方もこれ以上自身を煩わ
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