第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第12話 満月の塔 SIDE:H 前編
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感になるからな。寧ろ有り難いというものだ』
と、彼女達は地獄の女神であるが故か、価値観や感性が些か人間とは違う為、止める者が存在しないのであった。
そして、暫し時は遡り、『月』の視点へと移る。
彼女の目の前に現れていく光景は、今までの道筋よりもやや入り組んだものとなっていた。それに対して彼女は期待を膨らませる。
「ああ、これは手応えありそうだな」
そう、彼女が勇美から借りたゲームだと、こういう展開だと高い確率で何かが起こるのがお約束なのであった。
そう心を弾ませながら歩を進める『月』の目の前に、こういう展開ではお決まりの物がそこに現れたのである。
勇美のゲームでそれが何だかを知っていたヘカーティアは、そのあからさまな用意に些か呆れ気味になってぼやくようにそう言うのであった。
「こんな所に、宝箱があるなんてね……」
まさにゲームの中の話だと『月』は思うのだった。だが、まずはその中身を確認してみない事には話は進まないだろう。
そう思いながらヘカーティアは、自身の神力をその宝箱へとあてがったのである。
「罠かも知れないからな……慎重にいかないと」
この事もヘカーティアは事前に知っていたのだった。こういう好奇心と探求欲をそそらせる代物の中に罠を混ぜて侵入者を撃退するという算段がお決まりなのである。
そして、暫し自らの神力を宝箱に注ぎ込んだヘカーティアはそこで胸を撫で下ろすのであった。
「ふう……どうやら罠の類いはないようだな」
一頻り宝箱の調査を行ったヘカーティアであったが、ここでこの宝箱には罠がない事を知るのだった。
後に待っているのは、誰もが待ちかねる事であろう。『月』も例外なくその好奇心を踊らせながら意気揚々と宝箱の中を見るのであった。
「さて、中には何が入っているのかな?」
そう言ってヘカーティアは満を持して宝箱の蓋へと手を持っていったのであった。
そして、中身を確認した『月』は確信したようにこう呟く。
「……これは、皆に知らせないとな」
最後の視点となるのは我らがリーダーたる『異界』であった。彼女もまた自分に割り振られた道を進んでいるのだった。
「これは……私が正解を引いたかも知れないな」
そう呟く『異界』の目に飛び込んでくる光景。
それは、まるで威風堂々としているかのような道の構造であった。こうも力強く造られている事から考えれば、これが先へ進むための正しい道筋だと思えてくるのである。
そして、『異界』のその推測は裏付けられる事となる。
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