第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第12話 満月の塔 SIDE:H 前編
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ろう。そう思い直しながらヘカーティアは更に先へと進んでいったのだった。
そうヘカーティアが思いながら進んでいると、彼女の目の前に現れる光景に変化が見られたのであった。
「これは……いよいよ勇美が喜びそうな演出だね」
そういう彼女の前には、床に紋様が描かれているものが存在するのだった。
それも、合計三つである。その事に対してヘカーティアは勘良くそれが何かをいち早く察するのであった。
「これは……恐らくワープ装置って所だろうな」
これも勇美の貸してくれたゲームから察する事が出来たのであった。その事に対してヘカーティアが驚く事はなかったのだ。
月の技術力の高さが随一だという事は彼女も知る所なのである。伊達に長年月への復讐は企ててはいない所である。根が真面目な彼女は敵を知る事は欠かさずに行っている訳だから。
そして、彼女は更に推測するのだった。
「これは、ゲームだとどれか一つが正解のルートへと繋がっているという訳だろうな」
そう、RPG等ではワープ装置で移動した先の一つが先への道が存在しており、他の場所は行き止まりだったりするという展開である。
「つまり、正解を見つけるまでハズレだったら、ここに戻って来て再び別のルートへ進むのを繰り返すって事だろう」
そうヘカーティアはこの仕掛けの攻略法を一人呟くのであった。だが、それにはある言葉を省略した場合の事である。
「まあ、でもそれは『正攻法』の場合って事だな」
ヘカーティアはその言葉を、悪戯っ子のような笑みで以て紡ぐのであった。そして、彼女はその言葉の意味となる行動を起こすのだった。
「さて……私の『三つの体を持つ能力』の本領発揮といきますか♪」
そう言うとヘカーティアはおもむろに目を閉じると、そのまま何やら念じ始めたのである。
そして暫くした後、事は起こったのであった。まず、ヘカーティアが目映い光に包まれたかと思うと、光が止む頃には彼女が三人に増えていたのである。
だがそれは完全なコピーのような姿ではなく、基本体が赤髪なのに対して新たに現れた二体は青髪と黄髪であり、それぞれが身に付ける装飾品も微妙に違うのであった。
そう、これこそが三体で一人というヘカーティアの特異たる真の姿なのであった。
そして、三人のヘカーティア達はそれぞれが独立した意思の下に疎通を始める。
「久しぶりだな二人とも。今回もよろしく頼むよ」
「任されたよ『異界』。今回のシチュエーションは正に私達向けだしな」
「勇美の稽古以外で三人が力を合わせるのは、あの子達と戦った時以来だな。う〜ん、感慨深い」
と、このように賑やかな会話を始める三人だったが、何度も言うがこれはヘカーティア・ラピスラズリというれっきとした一個体の存在なのである。改めていかに彼女(達)が特異な存在であるか察する
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