第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第11話 『波』VS『水』?:後編
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なっていたのである。
(……?)
それを今まで幾多の困難たる戦いをこなしてきて、洞察力を養われた鈴仙は見逃しはしなかったのである。
(まだ、この子は奥の手を隠しているという事ですね……)
相手の態度からそう推測した鈴仙は、油断せずにこの戦いを続行する事に決めたのであった。
「すごいや鈴仙さん。あのエイチツーオードラゴンを攻略するなんて。あれはとっておきだったのに」
「それは光栄ですね」
鈴仙はそう返しながらも油断は一切していなかった。何故なら尚も言葉に反してリュウセンが本気で悔しがっている様子がなかったからである。
「あーあ、どうしようかな? あれを攻略されちゃったら僕は不利だなあ。何たってあれ以上の水の力は僕には扱えないからねぇ……」
「……」
そうのたまうリュウセンと向き合いながら、鈴仙は彼に注意を向けていた。
──相手は全くの喰わせ者だと。果たして敵がどう出るか、細心の注意を払って観察しなければならないだろう。
そう意識を集中する鈴仙に対して、リュウセンはいよいよ行動を始めたのであった。
「だから僕は……後はこんなモノを用意するしかないんだよね……」
言ってリュウセンが懐から取り出したのは、スペルカードと……小瓶が一つであった。
それを見て鈴仙は「ああ」と合点がいき、肩の荷が降りる思いとなっていた。
「悪あがきくらいさせてもらうからね。【「スーパーサルファリック」】」
その宣言と共にリュウセンは小瓶を開けると、そこから勢い良く飛抹が巻き上がったのである。
それは先程の龍はおろか、ジョウロから放たれる水の弾幕とさえ比べてもお粗末なものであった。最早このようなものは避けるまでもない、弾幕と呼べるような存在でさえないように思われた。
故に、これは避けるまでもないだろうと思ったのか、鈴仙はそれをかわす事はしなかったのだ。
だが、実はその行為は敵の思うつぼだったのである。鈴仙が避けなかったのを見て、リュウセンは内心で「やった!」と歓喜するのだった。
これで相手は無事では済まないだろう。何せ……。
そう思って暫し相手を見据えていたリュウセンだったが、徐々に事態がおかしい展開に持っていかれている事を察するのだった。
敵は全くを以て動じてはいないのである。ましてや、命中した時点で『煙を上げていない』事が想定外なのだった。
そして、敵が紡ぐ言葉の内容を聞くと、更に驚愕する事になるのだった。
「成る程……。これは『酸』だったのですね。それも『サルファリック・アシッド』即ち『硫酸』という非常に強力な……」
「!!」
敵にネタがバレてしまった。そう思ってリュウセンは息を飲んだ。だが、彼の驚きはそれだけでは終わらせては貰えなかったのだ。
「この事から察するに……恐らくあなたの能力は水ではな
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