第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第11話 『波』VS『水』?:後編
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
が形成されたのである。勿論それは彼自身の力である水龍のブレスの到達の前に間に合ったのであった。
ぶつかり合う水と水。そして、見事にブレスの方は滝の壁に遮断されてしまったのだ。
「やりますね……」
「僕とて伊達に戦闘訓練を受けた玉兎ではないんだからね」
鈴仙に言われ、リュウセンはさも当然と言わんばかりの態度で以て返したのである。
だが、その振る舞いは些か気が早かった事を彼は思い知る事になるのであった。
「見事ですけどね、私とて訓練を受けた玉兎って事を忘れてはいけませんよ」
その言葉を聞いて、リュウセンはハッとなる。その意味合いよりも、鈴仙の雰囲気がただならぬものへと変貌したからである。
その雰囲気のまま、鈴仙はこう言い始めたのであった。
「これは最近作った新しいスペルだからね。光栄に思うといいですよ♪」
尚も鈴仙から放たれる威圧的な見えない力にリュウセンは息を飲む。そして、そんな彼に対してこのスペルが発動されるのだった。
「【豪巨「極の月」】!!」
そのスペル発動と共に鈴仙の瞳は一層赤く輝き、そしてスペルの効果が滞りなく繰り出されたのである。
それは一瞬の事であった。鈴仙の周りにエネルギーの円が形成されたかと思うと、それが一気に広がっていったのだった。
水の波紋が広がるような所を想像してもらえれば分かりやすいだろうか。その規模を大々的に拡大したものが鈴仙の周りから放出されていったのである。
そして、その際限なく拡張されていったエネルギーはまるで実った稲を収穫するかのように次々と水龍の首という首を刈り取ってしまったのだ。
「ええっ!?」
これにはリュウセンも、平時の緩い態度を崩し、分かりやすく驚愕してしまったのであった。更には首を刈られた龍はその形状を保てなくなり、容器が破損した水の如く崩壊して辺りの水と同化していったのだった。
「ふぅ……、新しいスペルは成功のようですね♪」
初めてスペルカード戦でそれを成功させて、鈴仙は実にご満悦といった様相となるのだった。
鈴仙が『月』を模したスペルカードはそれ以前に二つ存在していた。
まず、インビシブルフルムーンは月の光が全く地上に届いていない、即ち新月を模したスペルであった。
次にインビシブルハーフムーンはその名の通り半月をイメージして作られたものである。
そして最後となる今回の『フルムーンサークル』である。完全な円形となり辺りを薙ぎ払ったそれは、正に『満月』と称するに相応しい代物と言えるだろう。
こうして、『満月』の猛攻により敵の龍達は見事に退治されてしまったのであった。
これにより、切り札級のスペルをリュウセンは攻略されてしまったという事になる。
だが、彼は今では至って平時と同じように落ち着き払った様相と
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ