第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第11話 『波』VS『水』?:後編
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半月の塔での鈴仙とリュウセンの戦いにて。
この戦いのフィールドの周りから激しく水飛沫が巻き起こったかと思うと、彼等は悠然とその場に聳え立っていたのである。
彼等の名前をリュウセンは口ずさむ。
「【獄嵐「エイチツーオードラゴン」】だよ。この子達をどう思う?」
「すごく……大きいです……とでも言えばいいのですか?」
鈴仙はそう軽口でリュウセンにツッコミを入れるのだったが、当然その心境は穏やかではなかったのだった。
何せ、自分達の周りを水で造り上げた三体の龍がその顔を覗かせているからであった。それぞれのサイズは悠に7メートルはあろうか。
そして、驚くべき論点はその大きさだけではないだろう。こうして形を持たない水を芸術的とも言える龍の形にしてしまっているのだ。改めてリュウセンの技術力を評価しなければならないという事だ。
「大きいのはいいからさ……この子達の攻撃から逃れられるかな?」
「……まだネタ引き摺るんですね」
まあ『このままじゃ、おさまりがつかないんだよな』ではなかった分、幾分かはマシだと鈴仙は腹を括る事にしたのであった。
そのように、口でのやり取りは軽いノリであったが、当然実情はそうはいかなかったのである。
三体の龍はその大きな口を開くとそこからブレス攻撃のように水の塊を吐き出してきたのだった。
咄嗟にそれを鈴仙は避ける。だが、当然次が来るというものなのである。
「この子達は三体いるよ? だから、一つ避けても安心しない事だよ」
そうリュウセンは言うと、今度は次の水の龍へと攻撃命令を下した。それに応える形で、二体目の龍は口からさながら火炎放射器の炎のように水を放射してきたのであった。
今度は先程の水弾とは違い、連なった攻撃である。故に紙一重でかわす事は困難だろうと踏んだ鈴仙は、再び狂気の瞳を光らせたのである。
するとどうだろか? その水の奔流はまるで機械の手を加えたかの如く、実に人工的な様相の元にその流れが鈴仙の前でカーブを引き起こしていたのである。
そして、その流れは指令主であるリュウセンへと向かっていったのだった。
「成る程、敵の攻撃を利用してそのまま返す。さすがは依姫さんの所で鍛錬したが故の発想だね」
そうリュウセンはしみじみと呟くのだった。その敵の攻撃を利用する合気道や僕シングのカウンターのような理論は、さすがは柔を極めた依姫のセンスであると、嫌味ではなく本心から感心するばかりであった。
だが、リュウセンは断じて今の状況に臆してはいなかったのである。
「でもね、僕にはその攻撃は通用しないよ」
尚もまったりとした態度を維持しながら、再び彼はこの場を凌ぐ為のスペルを発動するのであった。
「もう一回いくよ、『フォールベール』♪」
そう言い切ると、彼の周囲に再び水の滝のバリア
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