第1楽章〜奇跡の殺戮者〜
プロローグ「相克」
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装の女性もまた、広間を後にした。
「ガリィ、お前は──」
「分かってますよぉ。引き続き集めて来ますから、マスターはそこでゆったり待っててくださいね」
青いメイド服の少女も、そう言って広間を後にした。
残されたのは、玉座に腰掛ける少女ただ一人。
帽子とローブを脱ぎ捨てると、玉座に腰かけ虚空を見つめる。
「待っていてね、パパ……。パパの命題は、必ず──」
その様子を、物陰より見つめる小さな影。
「キャロル……」
影の主は誰より物悲しげな顔で、じっと少女を見つめていた。
ff
「マスター、しっかりしやがれッ!!」
「今すぐ手当てを!!霊薬と包帯をお持ちしますッ!!」
「なら俺は、アイツらの事を報告してくるぜッ!!」
機械仕掛けの城より脱出した男達は、担いできた主をソファーに寝かせると、即座に役割を分担して行動する。
男達の肌は揃って白く、先程の戦いで破れた衣服からは、球体状の関節が覗いていた。
「すまないね……私が、甘かった……ぐっ……」
「マスター、無理、駄目……。オレ達、マスター、心配」
「ははっ……心配ないよ……。とはいえ……哲学の、呪いを……受けた身だ……。少しだけ……眠らせてくれ……」
男は苦笑いすると、傷の痛みに顔を顰めながら天井を見つめる。
「私は……止めなくては……何があろうとも……。万象黙示録を……あの子の、間違いを……止めなくては……」
男はゆっくりと目を閉じ、そして次の手を思案する。
(キャロルの計画に必要なものは、まだ全て揃ったわけではない。ならば次の手は……狙われている彼女達への接触が、不可欠──)
そこで張り詰めた糸が切れたように、男の意識は暗闇へと沈んでいった。
闇に神秘蠢く暗黒大陸、欧州。
未だ多くの秘技眠りし土地より今、新たなる脅威が迫っていた。
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