第1楽章〜奇跡の殺戮者〜
プロローグ「相克」
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・》のみ致命傷を与える。対象が女であれば確実に死にますが、男であっても効果は絶大。あなたの敗北ですよ」
「くッ……」
傷口が熱を孕んでいく。
全身が痺れるようで、動くことが出来ない。
「ですが、抜け目のないあなたの事です。こういう場合の対応策を用意している可能性は高い。念の為、もう一度刺しておきましょう」
「マスターッ!!」
無造作に蹴飛ばされ、床を転がされる男。
競り合っていた相手を吹き飛ばし、主の元へ走る従者達。
そして、振り上げられる青年の右手。
「──ッ!?」
刹那、青年の身体が宙を舞う。
勢いよく蹴り飛ばされたと気付いた時には、ゴロゴロと床を転がっていた。
「がはっ!?な、何だ……!?」
「マスター、殺す、ダメ……オレ、マスター、守る……ッ!」
どこからとも無く現れたのは、赤い前髪で目が隠れた、赤い執事服の少年だった。
「マスター、怪我、重症。皆、撤退、優先」
「やむを得ません……皆さん、撤退ですッ!」
「不本意だが仕方ねぇッ!」
「クソッ……覚えてやがれクソ女ッ!!」
床に倒れた男を抱える少年の周囲に、従者達が集まる。
それを逃がすまいと、青いメイド服の少女は追い討ちをかけるべく手をかざす。
「逃がすと思ってんのかよッ!」
「次会う時が最後だ。覚悟しとけよッ!!」
しかし、男達の方が一手早かった。
床に幾何学模様の陣が広がり光ったかと思えば、次の瞬間には男達の姿が消えていた。
「逃げられましたか……」
「ノエル、血が出ているぞ」
「お気になさらず、レイア。それよりも……」
起き上がった青年は、口角から垂れる血を手の甲で拭い、二の腕を押さえながら玉座の方に視線をやる。
ローブの少女は既に拘束を破り、袖についた土の欠片を落としている所だ。
「哲学の呪いで傷を負ったとはいえ、取り逃してしまった以上、彼らとの再度交戦は避けられません。どうするつもりですか?」
「問題は無い。シャトーの防衛システムを強化すればいいだけの事だ。破損箇所の修復はエルフナインに任せるとして……ノエル、すぐにでも取り掛れるな?」
「仰せの通りに。では、持ち場に戻らせていただきます」
青年は恭しく礼をすると、そのまま踵を返して歩き去ろうとする。
「お待ちなさい。戻る前に、傷の手当をさせていただきますわ。あなたのお仕事に、支障があってはなりませんもの」
「お構いなく……と言いたい所ですが、仕方ないですね。頼みますよ、ファラ」
緑の衣装に身を包んだ女性と共に、青年は広間を退室していく。
「では、私はシャトーの被害状況を確認してきます」
黄色い衣
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