第1楽章〜奇跡の殺戮者〜
プロローグ「相克」
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上がる爆煙。広間を震わす振動。
流石に無傷では済むまいと、少女は確信する。
──だが……
「よく成長した……本当に強くなったな……。だがッ!」
「ッ!?」
煙の中から現れる人影。
目を見開く少女の目の前に、男は悠々と姿を表した。
それも、全くの無傷で。
コートの裾に焦げ跡すらなく、伸ばした髪も全く乱れていない。
「これでもまだ及ばぬと言うのか……ッ!」
黄金の輝きと共に振るわれる短剣。
それは男を仕留めんと繰り出される少女の魔法陣を切り崩し、術式の発動を尽くかき消した。
「四大元素に加え、天属性までをも使いこなすその才能。お前こそ稀代の天才だよ、キャロル」
男は剣を、キャロルと呼ばれた少女へと向ける。
「その力、間違った使い方でさえなければ、言うことは無かったんだがね……」
短剣が琥珀色に光り輝き、形成された鎖が少女の身体を拘束する。
「くッ!?」
「この城を破壊するまで、大人しくしているんだ…… last」
短剣が一瞬にして槍へと変化する。
男はその槍を錫杖のように掲げ、意識を集中した。
「マスターッ!」
「行かせませんッ!」
「なッ!?」
「ならば私がッ──」
「ド派手に妨害ィッ!!」
「ッ!!」
「ッ!やらせるかってのッ──」
「ところがギッチョォォォンッ!」
「ぐぅッ!?」
少女を守ろうと動く従者達。
しかし、主の邪魔をさせまいとするのは彼女達だけでは無い。赤コートの男の従者達による妨害で、間に入れない。
「五大元素、接続。対象構造、把握。術式展開……」
振り上げた槍が狙うのは、床の一点。
ここに至るまで多くの障害を乗り越えて来た男が狙うのは、この城の崩壊。
組み上げた術式を、あとは振り下ろすだけだ。
【プリマテリアル・ブレイク】
「終わりだ……──ッ!?」
一瞬だった。
槍が振り下ろされる直前、男の背後に現れた青年が、男の背中にナイフを突き立てる。
全ての意識を術式に集中していた男には、その刃を防御する手段が無かった。
背中から吹き出す鮮血と共に、男は膝を着く。
「ッ!?いつから……気配はなかった……ッ」
「僕達のテレポートジェムは、この広間に座標を指定している。あなたの位置さえ把握出来れば、あとは発動するだけ不意を突く事が出来ます」
「なる……ほど……。限定的な使い方だ……だから、こそ……私の想定を上回った……ごはっ……」
青年は、男の背中から引き抜いたナイフの血を払い、彼を見下ろす。
「哲学兵装“切り裂きジャックのナイフ”は、人間に刺した場|合《
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