地球救星計画
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ウスからは出られませんよ」
「あ、ああ……親父から……」
リゼのスマホがけたたましくなりだした。
「親父? ああ、大丈夫だ。今、ラビットハウスに……」
「リゼちゃんのスマホ、電波通じるんだね」
ココアはそう言いながら、外の景色を見やる。
すでに人がいなくなった木組みの街。見滝原の中でも一際特徴的なその町は、笑顔があふれる人々ではなく、肉体を持たぬ怪物たちが我が物顔でうろついていた。
リゼはしばらくしてから携帯を切り、ボソリと呟いた。
「クソ、私の銃が通用する相手なら、何とかするのに……」
「リゼちゃん、モデルガンで立ち向かったの!?」
「ああ」
「死んじゃうよ!」
ココアは白目を剥いて訴える。
だがリゼは口をきっと結びながら上の階を見上げる。
「ハルトだけが頼りだったんだけどな……」
「リゼちゃん? 何か言った?」
「あ、いや。何も」
リゼが首を振った。ココアとチノははてなマークを頭の上に浮かべる。
『人間共に告ぐ。人間共に告ぐ』
それは、何の前触れもない出来事だった。
突如として見滝原に行き渡るその声。全てを見下したような声に、ココアもチノとリゼとともに、背筋が凍る。
「な、何これ?」
ココアは不安に駆られながら、天空のムー大陸を見上げる。すると、先ほどまでのムー大陸とは異なり、今は黒い人影がバストアップで投影されていた。そしてそこから、ムー大陸が出現した時の声とは全く別の音声が発せられていた。
黒い人型の怪物。体の至る所に水色の文様が刻まれており、頭にはまるで天使のような翼の飾りがついていた。
『私は元護星天使、ブラジラ。今この時より、我が悲願、地球救星計画を発動する!』
「地球……きゅうせい?」
チノが頭に乗せたアンゴラウサギ、ティッピーを胸に抱える。彼女がぎゅっと力を込めているのか、ティッピーが心なしか苦しそうにもがいていた。
『この星も、私がかつていた地球と同じく腐りきっている。よって私は、ムー大陸のエネルギーをこの星のコアに注入し、破壊する。その後、私の護星天使の力をもって、新たに地球を創造する。これこそが我が地球救星計画、ネガーエンドだ!』
地球を破壊。その単語がはっきりと聞こえた時、ココアは全身が震えるのを感じた。
『この星より、汚れた魂を浄化し、新たな美しい星を作り上げる。このムー大陸は、そのための楔なのだ!』
最後に、護星天使ブラジラはこう締めくくった。
『これより、ムー大陸は地球の核を刺激する。さあ、人間共よ! 最後の晩餐を楽しむがいい! ははははははははは!』
ブラジラの高笑いとともに、立体映像は消えていった。
それと同時に、役目を終えたのか、街にいるム
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