地球救星計画
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「うわっ!」
「ど、どけ!」
押し飛ばす男性に、リゼは目を尖らせた。
「いつつ……はっ!」
付いた尻餅を撫でながら、リゼは目の前に迫った首長竜に唖然とする。
首長竜は吠えながら、川沿いの通路にいる人々を眺めている。
「来るな、来るな来るな!」
「いやあああああああああ!」
「おい、お前が食われろ! 俺は生き延びるんだからな! ムー帝国に行くんだ!」
「嫌じゃ嫌じゃ! 儂はまだ生きるんじゃ! ほれ、若いのは儂のために食われてくれい!」
人々はそれぞれ互いに互いを首長竜へ押し付けている。だが、首長竜は品定めをしているかのように、人から人へ。若者から老人へ。男から女へ。子供から大人へ、
まだ襲ってこない。
そう判断したリゼは、腰からモデルガンを取り出し、近くの人の足元へ発砲した。
本物に匹敵する発砲音に、人々は慄き、恐怖する。
「は、早く行け! 生き残る者こそが、戦場では勝者だ!」
その言葉が、どう響いたのかはリゼには分からない。
ただ一つ。人々はそれぞれ蜘蛛の子を散らすようにそれぞれ首長竜から離れていった。
結果、川沿いの通路にいるのは、尻餅を着いたリゼただ一人になってしまった。
「……っ!」
リゼは息を呑む。だが、自ら残った獲物を、首長竜が見逃すはずがない。
首長竜は、リゼに顔を近づける。
その黄色のボディは、形を持たないかの如くあやふやな波を打っており、口のない頭部で迫っていた。
「う、うわあああああああああっ!」
リゼは悲鳴を上げる。
だが、首長竜がリゼに届く前に、その黄色の首に無数の細い剣が突き刺さった。
苦痛の声を上げる首長竜。さらに、リゼの前には、青いマントをした人影が降り立った。
「……」
その、流れる水のような姿に、リゼは言葉を失う。半透明のマントの下は、あたかも人魚のような下半身で、その顔を覗き見ると、人間とは違う怪物の姿に、リゼは息を呑んだ。
人魚の怪物は、ほんの少しだけリゼに振り替える。
一瞬彼女(?)が「リゼちゃん?」と名前を呼んだ気がした。
「え? 今、私の名前……」
「!」
恐怖を忘れ、問いただそうとしたリゼを、人魚は抱きよせ、飛び去る。丁度リゼが安全圏に出たと同時に、首長竜の顔がリゼがいた場所に突き刺さった。
「あ……っ!」
「危ないから下がって」
人魚はリゼを背にして、両手を振る。すると、彼女の周囲に無数のレイピアが突き刺さった状態で出現した。
人魚はそのまま手頃な二本を掴み取り、首長竜へ飛んでいく。音速を越えた速度で、首長竜を無数に切り刻んだ、
「あ……」
消滅していく首長竜をバックに佇む人魚を見ながら、リゼは立ち上がる。
彼女は
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