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魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者
第五十七話 フェイト・テスタロッサ
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目にしたのは、黒いバリアジャケットに特徴的なマント。戦斧のように鋭い光を放っている魔法の杖。
金髪をツインテールに纏めた少女、未来の上司、フェイトだった。
その隣には、派遣任務の時は少女の格好をしていて、今は大人の女性の姿をしたアルフが立っている。
アスカは戸惑い、フェイトは感情がないような表情をし、アルフは睨んでいる。
「おい、お前!そいつをこっちに寄越しな!逆らったらガブッと行くよ!」
アルフが威嚇する。
(派遣任務の時もそうだったけど、この人、オレを噛む事に固執してないか?)
アルフの脅し文句に冷や汗をかきながらも、アスカは場違いな事を考えてしまった。が、すぐに意識を元に戻す。
(どうする?あんまりハラオウン隊長と絡むのは良くないよな?確か、タイムスリップして過去に行った場合、なるべく未来が変わらないようにしなくちゃいけないんだよな?映画でそう言っていたような気が……)
ピンと張りつめた空気の中、アスカは必死になって考えた。
(だからと言って、この二人から逃げきれないだろうし……まてよ?直接隊長達と絡まなければいい訳だよな?だったら、この際管理局に保護してもらうのも手か?)
過去の世界にいて、どこにも居場所がないアスカは大胆な事を思いつく。
未来からきた事を限定的に開示し、将来直接会う人達から遠ざけてもらうのも良いかと考えつく。
「ロストロギア、ジュエルシードをこちらに渡してください」
フェイトがバルディッシュをアスカに突きつける。その間に、アスカは自分の考えをラピッドガーディアンに伝えた。
『……と言う訳だ。いいな、ラピ』
『大胆過ぎますが……それが一番傷口を広げない方法かもしれません。私はマスターに従います』
念話での話し合いで、アスカは投降する決心をする。
「手荒な事はしたくありません。ジュエルシードを……」
「はい」
フェイトが言い終わる前に、アスカは封印したジュエルシードを彼女に差し出した。
「え……えぇ?えーと……」
まさか素直に差し出されるとは思ってなかったフェイトが面食らう。
そして、戸惑い気味にアルフに目を向ける。
アルフも唖然として、フェイトと顔を見合わせていた。
「あ、あの、ジュエルシードを……」
「はい、どうぞ」
「え?いや、あ、あの……」
「ジュエルシードです。はい」
差し出されたジュエルシードを、なぜか取ってしまっても良いのか悩むフェイトに、言われるままに差し出すアスカ。
そんな間抜けなやりとりをしばらく続ける3人。
埒があかないと感じたアスカは、ツカツカっとフェイトに近づき、手を取ってジュエルシードを握らせた。
「これでいいですか?」
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