第一章 幽々子オブイエスタデイ
最終話 青への萌し
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ここは綿月邸の演習場。かつて依姫が神との修練を行っていた場所である。
そこに再び依姫と……玉兎三羽がいた。玉兎達は三角型に展開して依姫を取り囲んでいた。
「どこからでも掛かって来なさい」
そんな中依姫は言った。
「では……はあっ!」
その依姫の言葉を受けて、金髪の玉兎は掛け声を上げて銃剣を突き立てて依姫に向かっていったのだ。
どうやら依姫は玉兎達と一緒に演習を行っているようだ。そして、依姫の力量を考慮して玉兎達には複数で立ち向かってきてもらっているようである。
「まだまだ動きが甘いわねっ」
向かってくる玉兎に、依姫はそう返すと最低限の動作で刀を以てして銃剣の突きを受け止めてしまったのだ。
やはり依姫と玉兎一羽とでは力量に差がありすぎるのだ。だが。
「てやあっ!」
依姫が相手にしている玉兎達は複数いるのだ。一羽目の攻撃が防がれると同時に別の、茶髪の玉兎が銃剣を振りかぶって依姫に斬り掛かった。
だが依姫は慌てる事はなかった。
「見事な連携ね。だけど……」
言うと依姫は難なく刀をその玉兎へ合わせ、この攻撃も受け止めたのだ。
「くうっ!」
もらったと思った茶髪の玉兎は、苦悶の表情を浮かべ唸る。
だが、玉兎達の攻撃はこれで終わりではなかった。最後に残っていた眼鏡の玉兎が跳躍して依姫に斬り掛かったのだ。
「やりますね、ですが」
息の合った攻撃にも動じず、依姫は全ての玉兎達に目を配せ、
「はあっ!」
その掛け声と共に刀を一気に引き抜き、玉兎達を一度に薙ぎ払ったのだ。
「ひやあっ!」
「きゃあ!」
「くうっ!」
玉兎達は一斉に悲鳴を上げ攻撃を受け、後ろに仰け反ったのだ。
そして玉兎達は再び距離を取り、先程のように膠着状態となった。
「どうしました? 動かなければ勝負は進みませんよ?」
挑発的に依姫は言ってのけるが、それに易々と乗らない位には玉兎達は成長していた。
「依姫様に無用心に仕掛けられない事位解ってますよ」
金髪の玉兎が言う。あの時、月に来た者達との戦いの様は玉兎達の脳裏に抜かりなく焼き付いているのだ。
「じゃあ、『あれ』やる?」
「そうだね!」
残りの二羽は相槌を打った。
「行きますよ、依姫様!」
金髪の玉兎が言って銃剣を手前に構える。そして彼女は自らの妖力──妖怪に備わる生命エネルギー──を銃剣に込めたのだ。
「発射!」
そして、銃口から何かが射出された。
──それは弾丸型のエネルギーの塊であった。機関銃の弾のように射出されたそれは次々に依姫へと襲い掛かった。
だが依姫は刀でそれをことごとく切り払ってしまったのだ。弾け飛ぶ『弾幕』。
「弾幕で勝負ですか、いいでしょう」
弾丸を全て切り落とした依姫は得意気に言った。そして両手を前方に掲げた
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