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MOONDREAMER:第一章(ノベライズ作品)
第一章 幽々子オブイエスタデイ
最終話 青への萌し
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が暫く続いた後でようやく火花は止まり、刀の輝きも収まった。
「行きなさい、星達よ」
 依姫は掲げた刀を勇ましく下に振り下ろすと、天津甕星が生み出した星々へと命令を下した。
 その刹那、星々の輝きが強まった。
「嫌な予感……」
 眼鏡の玉兎が冷や汗を出しながら呟く。こういう時の予感というものは当たる場合も多いものである。
 それは的中したようだ。
 輝きを増した星は次々に地上へと雨のように降り注いだのだった。それは容赦なく演習場の土をボコボコと撃ち抜いていった。
「「「うわあ〜〜っ!!」」」
 当然玉兎達にも牙を剥いた。彼女達は次々に星の凶弾の餌食になっていったのだ。だが終わりというものは必ずあるもの。気付けばその猛攻も収まっていたのだ。
 そして辺りは土煙に包まれていた。徐々にそれが止んでいくと──。
「……やり過ぎてしまいましたか」
 案の定三羽の玉兎は目を回してその場で倒れていたのだった。

◇ ◇ ◇

「酷いですよ依姫様……」
 茶髪の玉兎がぼやく。三羽とも依姫の圧倒的っぷりに落ち込んで長い耳を垂らしていた。
 依姫の力が強大である事は周知の事実であり、彼女自身それを自覚している。
 だからこそ依姫は玉兎に三羽同時に掛かって来てもらうというハンデを自分に課したのだが……結果はこの通りであった。
「そう落ち込む事はありませんよ。貴方達は腕を着実に上げていますから」
「そ、そうですか……?」
 依姫に言われて、金髪の玉兎はそう返す。他の二羽の表情も段々明るくなっていった。
「ええ、それに貴方達がこの勝負を望んでくれて私は嬉しいのですよ」
 そう、今までの戦いは玉兎達が自ら望んで行った事なのである。相手の考えを尊重し、無理強いはしない依姫が強制的にやらせはしないだろう。
 玉兎達はあの『侵略の異変』から、徐々にではあるが腕を上げてきているのだ。
 理由はずはりその侵略にあるのだ。
 今までは依姫からは地上を忌まわしきものといった風に吹き込まれていなかった上に、地上まで行く事を許されさえしていたので地上を驚異だという認識がなかった。
 だが、現に囮にさせられた者達とはいえ月に乗り込んで来たのだ。だからそれに対して備えがなければいけないという意識が玉兎達には芽生えていた。
 それに加えて依姫が戦い、そして勝ちまくる様を目に焼き付ける事になったのも大きいだろう。言ってみればヒーローに憧れる子供の心理である。
「さあ、気を取り直して」
 依姫は玉兎達を労い、それに付け加える。
「それに、これからお楽しみがありますからね」

◇ ◇ ◇

 ここは綿月邸の大広間。そこには沢山の者達で賑わっていた。
 まずは玉兎達、そして依姫と豊姫の綿月姉妹、そして綿月邸に仕える月人達が数人であった。
「あ、
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