第一章 幽々子オブイエスタデイ
第9話 一区切りの終焉
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
は息が上がっていた。そしてどことなく空しさを感じていた。
『こんな事してまで勝ちたいか』、そんな気持ちが頭に浮かんでいたのだ。
霊夢はスペルカード戦では基本的に無慈悲である。そして今回は自分より力量が上回り、かつやりづらい相手だった事が重なり、このような凶行に至ってしまったのだ。
だが彼女は根は決して冷血で凶悪な人物ではないのだ。故に今、心に引っ掛りを感じていたのだ。
「ふん、きりがないね」
それに対して依姫も息が上がっていた。得意の攻撃をかわす手段が取れない上に、月の民にとっての毒といえる穢れを前にして精神的にも疲弊していたのだ。
だが彼女には『希望』があった。
「『伊豆能売』よ、私に代わって穢れを祓え!」
右手を挙げてそう宣言すると、その上に渦状にエネルギーが集まり、人の形を取ったのだ。
それは黒の長髪で手に持った鈴から清らかな音を奏で、そして──。
「巫女姿の神!? 誰それ? 聞いたことない神様だわ」
霊夢は驚いていた。
そして伊豆能売が手に持った衣を振るうと、穢れをキラキラとした光に還して祓ってのけたのだ。
「おお、本物の巫女だ、こいつはやばいぜ。
偽物は必ず負けるんだ」
おどけて言う魔理沙。
「巫女は神様をその身に降ろす者。その神様が巫女の姿っておかしくない?」
腑に落ちない霊夢は疑問をぶつける。
「勉強不足ね」
それに対して依姫は、──霊夢の首筋に刀を突き付けたのだ。
「貴方が動けばお互い損をする」
そして霊夢に忠告した。そうなれば依姫は霊夢を殺めなくてはならなくなるし、依姫も月を危険に晒される事となるだろう。
このような状況で互いの事を考えるのは難しいだろう。実際は自分だけのためなのに『お前のためだ』と言う者が多いのが現状である。
「? と、投了よ、投了」
そして霊夢は潔く身を引いた。このような勝負を続けても何も生まれない事を得意の勘で察したのだろう。
◇ ◇ ◇
その後、咲夜とレミリアは仲良く豊かの海の砂浜を散策したり、ふざけっこをしたりしながら満喫していた。
「そ、それでさ。このあとどうなるんだ?」
魔理沙はそわそわしながら聞いた。
「ここでは要らぬ殺生は行いません。貴方たちはもうすぐ地上に送り返します」
それが依姫の答えであった。元より彼女の性質が武人的であるのと同時に、スペルカード戦で勝った場合は追撃して相手の命を奪ってはいけないというものがあったからだ。
依姫はそれに従わなければいけないと考えたのだ。それにほっとする魔理沙。
「ですが……」
そこで依姫は付け加える。
「貴方には別の仕事がありますので、しばらく月の都に残っていただきます」
そう霊夢に告げた。
「あ──?」
◇ ◇ ◇
綿月邸の敷地内で玉
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ