第一章 幽々子オブイエスタデイ
第8話 『魔王』光臨:後編
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手段がないものだとたかを括っていたからだ。
「頂いたわ」
そして依姫は頭上に振りかぶった刀を思い切り降ろしたのだ。
「くうっ!」
斬撃音と共にくぐもった呻き声を出したレミリア。
先の戦いで斬られても対した傷を負わなかった彼女であるが、それは地に足を付けていたからだ。
だが今回は宙に浮くという不安定な位置で、しかも依姫が跳躍した事により総合的な力量の付加は計り知れないものとなったのだ。
そしてレミリアは地面に叩き付けられた。
「これでおあいこね」
体当たりで吹き飛ばされた時の借りを返した依姫は得意気に言った。やはり彼女は根に持つタイプなのだろう。
「くっ」
レミリアは言葉を濁した。しかし、すぐに自分のペースを取り戻した。
「ふん。飛び道具は当たらなくて、空中へ攻撃する事も出来るわけか……」
そして断言する。
「やっぱり最強の体術を喰らうほうが、お望みってわけね」
言い終わるとレミリアは傘を投げ捨て、自分の肉体をミサイルのように射出した。捻りもへったくれもないがレミリアの最大の武器──体当たりである。
ピタッ。その様を依姫は見据えた。この時を待っていたのだ。
「女神の舞に大御神は満足された。天岩戸は開き夜の侵食はここで終わる」
そう唱え、締めの言葉を紡ぐ。
「『天照大御神』よ! 圧倒的な光でこの世から夜をなくせ」
その宣言の後、それは起こった。岩を引き摺る音が鳴り響きながら、徐々に何かが依姫の背後から現れたのだ。
それは『光』であった。天照大御神の伝説のように天岩戸が開くように、はたまた天国の扉が開くように縦一線に光が現出を始めたのだ。
暗闇に刻みこまれた鮮烈な光、それはとても幻想的であった。さながらSF作品で宇宙空間で繰り出されるプラズマ兵器のように芸術的なものがあったのだ。
そしてその光の主である天照大御神が輝きの扉の中から光臨したのだ。黒のロングヘアーでゆったりとした服、我々が幻想する天女そのものの出で立ちであった。
体当たりの勢いが付いたレミリアは、もはやそれを止める事は出来なかった。
まるで糸で絡め取られて引き寄せられるように神が創りし太陽の光──吸血鬼の天敵である──に突っ込んで行くしかなかったのだった。
◇ ◇ ◇
そして闇の侵食から解放された世界では、玉兎達が依姫に寄り添っていた。
その傍らにはあちこち焼け焦げ、目を回して倒れているレミリアの姿があった。
勝負はついたのだ、魔王との戦いを依姫が制する形で。
咲夜が慌ててレミリアに駆け寄った。そして魔理沙は冷や汗をかき驚愕し、霊夢は面白くないといった感じで溜息を吐いていた。
◇ ◇ ◇
そんな中依姫は心の中で安堵していた。天照大御神の力が無事に決まって良かったと。
確かに天
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