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MOONDREAMER:第一章(ノベライズ作品)
第一章 幽々子オブイエスタデイ
第7話 『魔王』光臨:前編
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んどん上昇してついに肉眼では確認出来ない所まで飛んで行ってしまった。
「……」
 それを見ていた依姫は無言になる。勝負の放棄という訳ではないだろう。
 そして、突如空に輝きがあったかと思うとそれは一気にこちらに向かって来たのだ。
 レミリアだ! 加速を最大限につけたそれは弾丸やジェット機等を凌駕し、隕石の如く依姫に突っ込んで来た。
「!!」
 依姫は刀を構えて迎撃体勢に入るが、如何せん今回のレミリアに掛かっている力量は今までの比ではなかった。
 そして削岩機を廃ビルに叩きつけたかのような轟音と衝撃が巻き起こった。
「くうっ……!」
 その後体を地に擦り付けながら依姫は吹き飛ばされてしまったのだ。
「!!」
 玉兎達は皆戦慄した。当然だろう、今まで優位に戦って来た、頼れる主が翻弄される所を目の当たりにしては。
 その一撃を喰らわせたレミリアは得意気に着地して見せた。
「地上で最速にして最強のレミリア様(わたし)だ。ちっぽけな天体(つき)だったから一周して来ちゃったよ」
 そして憮然とした態度で言ってのけた。
「最速って彼奴()と比べるとどうかなぁ」
「力だって彼奴(萃香)がいるしねぇ、じつは大して取り柄がないんじゃ」
 と、外野の魔理沙と霊夢がひそひそ話をしていた。
「聞こえているよ」
 デビルイヤーは地獄耳だからとレミリアはそのやり取りに釘を刺す。
 そんなやり取りをして、レミリア達は和やかな雰囲気に包まれていた。
 だが、これは単に器用貧乏とは侮れない事実だろう。速さと膂力ではそれぞれそれを上回るものが存在はすれど、その二つをあわせ持っているのは強力な武器と言えるだろう。
 かの手塚治虫も漫画家としての能力のみならず、医者としての能力を持っていた事が氏の代表的作品の医療漫画『ブラックジャック』を生むに至ったのだから。
 そのような抜かりない二律背反の要素を者と対峙する依姫としては厄介であろう。そして彼女は刀を杖代わりに体を支えながら立ち上り地に刺さったそれを引き抜いた。
 そして、暫し相手を見据える。
「どうした? 圧倒的な力の差に絶望したとしても降参は許さないよ?」
「貴方……羽から煙が出ているわよ?」
「ん? うわっ!」
 依姫に指摘されてレミリアはそれに気付き慌てた。彼女のこうもりのような羽が焼け焦げたかのようにチリチリと燻っていたのだ。
 すかさず咲夜が日傘をレミリアに投げ付ける。そしてレミリアはそれを指した。
「危ないところだった。日光の下では長く生きられないのだよ」
 それは強大な力を持つ吸血鬼故だからだった。だが、レミリアはこの時自分を『強いから』とは言わなかった。
 自らを強いと自称する者には本当に強い者は多くはないからである。
 言葉巧みに他人を操り支配し精力的に
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