第一章 幽々子オブイエスタデイ
第6話 努力のあり方
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に掲げた。
するとどうだろうか。刀身は瞬く間に白金のように、はたまたブリリアントカットされたダイヤモンドのような燦然とした輝きを帯び、神秘的な光の剣と化したのだった。
「……っ!!」
これには魔理沙は思わず息を飲んでしまった。だが依姫は攻撃の手を緩める事はなかった。
「はっ!」
掛け声とともに依姫はその輝きの剣を魔理沙めがけて振り下ろしたのだ。そしてキャンバスに思う存分筆を振るったが如く、流麗な光の帯を纏って魔理沙に襲いかかった。
「ねえあんた、依姫に勝てると思う?」
それを見守っていた霊夢はレミリアにこの勝負についての意見を聞いていた。
「負けるはずがないよ、弱気だねぇ」
聞かれたレミリアは自信満々に答えた。
「いつもの妖怪退治なら負ける気がしないんだけど……、今回悪いのこっちじゃないの」
月に攻めてきた訳だし、とレミリアに対して霊夢はぼやいた。
「悪いほうは必ず負けるのよ」
それはヒーローものの活劇の『お約束』にも通づる事であった。
実際は悪い方が勝つ事も多いのが現実であるが。──言い替えれば、力の強い方が勝つという事だ。
それはとある漫画で登場した『勝った方が正義』という理論に行き着くだろう。
だが、良い方が勝つというのは多くの者が望む事だろう。
「はん、それは私に対する当てつけかね」
だから、レミリアにはそれを覆したいという強い信念があるのだった。
「でも、負けはしないよ」
なお強気で言うレミリア。だが。
「言っちゃ悪いけど、私の勘ではあんたが一番簡単に負けるわよ。力の有無とか関係なし──にっ!!」
霊夢が言っている途中で遮られた。魔理沙が先程の依姫の攻撃で吹き飛ばされて霊夢にぶつかったのだ。
「……てて」
あぐらをかきながら頭を押さえる魔理沙。
それをレミリアは──彼女の臀部を蹴り飛ばして送り返したのだ。「ぎゃ」っと力ない声が漏れた。
「なんだよ、わざわざ私が相手の戦い方を見るチャンスを与えてやってるってのに、その仕打ちかよ」
当然憤慨する魔理沙。だが本気で怒っている訳ではないのだ。これは一種の彼女とレミリア流のコミュニケーションであるのだった。
「地上の者たちは仲の宜しいことで」
それを依姫も察したのか、クスクスと笑っていた。だが、子供のじゃれ合いを微笑ましく見る様と手に持った刀は明らかに不釣り合いで、シュールな雰囲気を醸し出してしまっていたのだ。
──喧嘩する程仲がいい──。よく聞く言葉だが、多くの場合攻撃的な人が喧嘩を引き起こしがちな自分を美化する手段に使われがちなのである。実際は所ジョージ氏が言ったように喧嘩する程仲が悪いというケースが多いのだ。戦争を始めとした国同士のいざこざなんかが良い例だろう。
だが、魔理沙とレミリアは違って
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