第一章 幽々子オブイエスタデイ
第6話 努力のあり方
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じなかった。持った刀の鞘から刀身を抜くと、それで星弾を次々に切り払ったのだ。
まるで漫画で行われるような光景である。それを易々とやってしまうのは、依姫の鍛錬の賜物であった。そう、以前に祇園様と行ったような鍛錬を日々抜かりなく行っているが故である。
それを見ながらレミリアはにやけていた。
その事により、嘗められてばかりいられないと気合を入れ直し再び弾幕を放っていたが……。
(ただ遊ばれているようにしか感じない。どうにもこうにも『勝てる気がしない』ぜ)
と、活路の見出せない依姫との戦いに魔理沙は行き詰っていた。
(……)
一方依姫は『この勝負、このままではいけない』という念を抱いていたのだ。
傲慢な者は結果を出して自分を満足させた者に対しては『努力したね』と持てはやすが、結果を出せなかった者には『努力しなさい』と言うものである。例えその者が努力していたとしても、その事を考慮しない理不尽なものである。
だが依姫は、魔理沙とここまで戦ってみて感じ取っていたのだ。『この者は努力している』と。
それが解るのは依姫自身がその類稀なる才能に溺れずに努力を欠かす事がなかったからである。
そして、努力している者同士でありながら生まれているこの差の理由も解っていた。
それは『才能』によるものである。その無情な事実は解決出来ない難題──アポリア──であった。
だがそれを依姫は認めたくなかったのである。
このままの流れで戦えば、突き付けられた現実を前にこの者は負け癖がついてしまいかねないだろう。それにより努力も怠るようになる恐れがある。
──この者には努力を辞めないで欲しい。それが努力を欠かさない『同志』である依姫の我が侭であった。
勿論魔理沙の今後のためだけを思ってという偽善的な考えではない。このまま本調子でない彼女を倒しても自分自身が面白くないという自らの欲望に忠実になっての考えでもあるのだ。
そして、依姫は序盤から神降ろしを使った咲夜戦とは違い今までそれを行っていなかったのだ。
それは魔理沙が四人の中で一番『信仰』に頼らない人物だと察していたからである。
依姫は神の力を借りて戦うが、いやだからこそ神の力に頼らず自分の力で道を突き進む者に敬意を覚えるのだった。神に頼らない者の前で神の力をみだりに使うのは、半ば『信仰の強要』というやってはいけない暴挙だと考えての事だった。
だが、今こそ神の力を使うその時だと依姫は心に決めたのだ。
「貴方のプラネタリウムは密度が薄いのです。地上から見える星はそんなに寂しいものなのかしら」
辛口の評価を下す依姫。ここは敢えてそうするべきだと思っての事だ。そして続ける。
「『天津甕星』よ。大気に遮られない本来の星の輝きをこの者たちに見せつけよ」
そう言って依姫は刀を天
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